2012 Fiscal Year Research-status Report
チューブリンは環境化学物質の新規毒性標的となりうるか?
Project/Area Number |
24651061
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
古武 弥一郎 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 准教授 (20335649)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | チューブリン / 環境化学物質 / ユビキチン化阻害 |
Research Abstract |
細胞骨格タンパク質であるチューブリンは重合して微小管を構成し、物質輸送等の細胞にとって不可欠な役割を果たしている。しかし従来、チューブリンに作用し毒性発現する環境化学物質は、重合・脱重合を直接阻害する物質を除いて見出されていなかった。ところが近年我々は、環境中に存在する特定の化学物質がチューブリンに結合することによりそのユビキチン化が阻害され、毒性に繋がる可能性を明らかにした。そこで本研究では、環境化学物質の毒性標的としてチューブリンに着目し、チューブリンを毒性ターゲットとする化学物質を同定することにより、化学物質のリスク評価を行うことを目的とする。 チューブリンのユビキチン化阻害を引き起こす化学物質のひとつとして、パーキンソン病関連神経毒性物質MPP+を見出している。本年度は、MPP+がチュブリンのユビキチン化阻害を起こす比較的低濃度 (10 microM) において、その後どのような過程を経て細胞がダメージを受けるのか検証を行った。 SH-SY5Y細胞に10 microM MPP+を曝露し続けると、1週間後に約40%の生存率低下が認められた。この緩慢な細胞死の際に何が起きているのかを詳細に調べたところ、細胞死が認められないMPP+添加開始48時間後に、オートファゴソームのマーカータンパク質であるLC3-II発現の増加が認められた。オートファジーフラックスアッセイを行った結果、オートファゴソームの分解が阻害されていることが示唆され、低濃度MPP+はオートファジーを阻害することが明らかとなった。 来年度はこのオートファジー阻害とユビキチン化阻害、およびその細胞輸送への影響について調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新しい興味深い知見は得られたものの、本来の目的であるチューブリンを介した毒性メカニズムの解明は進展していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
チューブリンのユビキチン化阻害が引き起こす細胞輸送の異常について、ライブイメージング等を用いて明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として実験に用いる蛍光色素、顕微鏡使用料等に充てる。
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Research Products
(4 results)