2013 Fiscal Year Annual Research Report
検証型エピジェネティック毒性研究実現のための特異的DNAメチル基導入技術の開発
Project/Area Number |
24651065
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
五十嵐 勝秀 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 室長 (30342885)
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Keywords | トキシコロジー / エピジェネティック毒性 |
Research Abstract |
化学物質のエピゲノム作用により遅発毒性が生じる「エピジェネティック毒性」が注目されているが、研究の進展は遅れている。その原因として、エピゲノムを配列特異的に操作する技術が無く、検査研究にとどまらざるを得ないことが上げられる。本研究では、エピゲノムのうちDNAメチル化を取り上げ、「ゲノム上の任意の配列に対し特異的にDNAメチル基を導入する技術」を開発し、エピジェネティック毒性研究を検証型へシフトさせることを目的とする。そのために、実用化が進んだ「DNA結合タンパク質-ヌクレアーゼ」技術を応用し、「特異的にDNAメチル基を導入する技術」を開発する。 具体的には、「2ヶ所のDNA配列の同時認識による内在性DNAメチル化酵素の特異的リクルートとその2量体化による酵素活性の上昇」を狙い、内在性DNAメチル化酵素のノリとしてDNMT3L断片をDNA結合タンパク質TALEに付加した人工タンパク質を開発する。このアイディアの検証のために、神経幹細胞におけるGFAP遺伝子のDNAメチル化による発現制御系を用い、GFAPプロモーターの特異的高メチル化誘導を目指したTALE-DNMT3Lの設計と実用性検討を行う。 本年度は、GFAP プロモーター特異的TALE融合DNMT3L発現ベクターの設計および作製を行い、マウス神経幹細胞へ導入し、目的標的配列への結合をFlagに対するChIPで確認した。次に、GFAP発現誘導因子LIFに対するGFAP発現上昇が抑制されるか調べたところ、実際に抑制されることが確認された。この結果は、TALE融合DNMT3Lにより、細胞内在性のDNMT3Aまたは3BがGFAPプロモーターにリクルートされ、DNAメチル化を亢進させた可能性を示唆するものである。
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