2013 Fiscal Year Annual Research Report
「水分と熱の並び流れ」原理の応用による国内産杉材の低温乾燥と環境負荷低減
Project/Area Number |
24651067
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷口 尚司 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (00111253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清和 研二 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40261474)
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Keywords | 木材乾燥 / 低温乾燥 / 水分と熱の並び流れ / 乾燥変形 / 精油成分 / 林業再生 / CO2排出削減 |
Research Abstract |
平成25年度はまず、杉材の乾燥速度に影響する仮道管壁孔(ピット)の存在状態を調査した。次いで、乾燥に伴う木材の変形について調べるために、木材組織方向による乾燥収縮率の差異を調べた。その結果以下の知見が得られた。 (1)ピット数密度の測定:3つの異なる方向に切り出した板材内を通過する空気の透過率を、心材と辺材について測定した。典型的なピット構造(マルゴとトールス)を再現した流動モデルによって、ピット1個当たりの透過率を求め、実際の透過率からピット数密度を推算した。その結果、心材の1仮道管細胞当たりのピット数は約5.4個となり、文献値の50~300に比較すると、大半のピットが閉塞しているものと推定された。 (2)乾燥収縮率の測定:厚さ3mmに切り出した板材を乾燥機中で一様乾燥させ、乾燥に伴う収縮率の変化を調査したところ、接線方向の収縮率が最大で、半径方向はその半分、軸方向の収縮率は極めて小さかった。また含水率がある値以下になると収縮が始まるが、その臨界含水率は辺材では約40%、心材では100%前後であった。また、収縮特性は乾燥温度に依存しないことが分かった。次に、乾燥収縮が大きく、乾燥速度が停滞する含水率25%以下について、昨年度と同様の温度勾配下での乾燥試験を、熱と水分の移動が逆向き(Counter)と同じ向き(Parallel)の2条件で行った。予め乾燥機内の一様乾燥条件で求めた接線方向の収縮率と含水率との関係が比例関係で表されたので、乾燥面から異なる位置で測定した収縮率から同位置における含水率の経時変化を推算した。その結果、CounterとParallelとの間で乾燥速度に大きな差異がなく、また後者の方が前者より乾燥中の含水率の位置による差異が小さかった。これより、Parallel条件では乾燥速度を変えずに乾燥変形を抑制できることが明らかになった。最後に杉材中の精油成分の含有濃度が乾燥温度によって変化することを見出した。
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