2012 Fiscal Year Research-status Report
ヘテロ界面を有する複合イオン伝導体を用いた中温作動金属―空気二次電池の開発
Project/Area Number |
24651071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大友 順一郎 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (90322065)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 省エネルギー技術 / 蓄電池 |
Research Abstract |
高イオン伝導率を有する複合型固体電解質材料を新たに開発し、200~500℃の中温域で作動する大容量二次電池を指向した従来の作動原理とは異なる金属-空気二次電池を提案することを目的とする。すなわち、本研究では、極小空間・界面の特異なイオン輸送機構(界面におけるイオン伝導の加速効果)を活用し、高イオン伝導度を有する複合電解質材料を開発する。さらに、負極(液体金属)の輸送・電荷移動過程の最適化を検討することで、新概念に基づく安定性の高い金属-空気二次電池のセル設計の指針を提案する。 今年度は、新規電解質材料としてプロトン伝導体であるリン酸チタニウム系ガラス-セラミックスに着目し、複合イオン伝導体の合成を行った。合成したガラスの熱処理条件の違いによる内部構造の変化を詳細に検討し、導電率測定の結果と合わせて評価することで、結晶化構造の違いが導電率に与える影響が明らかとなり、また結晶化制御によって高プロトン伝導率が得られることを示した。得られた結果を基に、結晶化構造を精密に制御したガラス-セラミックスの合成に至れば、新規電池の実用化に向けて十分な導電率を有する電解質材料を合成することが可能になると考えられる。 さらに、酸化鉄の還元反応に対する酸化物イオン伝導体の反応促進効果を検討した。酸化物イオン伝導体であるセリア系電解質を担体に用いた場合、アルミナ担体と比較して還元反応速度が著しく上昇し、解析の結果、三相界面長の増加に従い還元反応の速度定数の値が増加することが明らかになった。このことから、界面における酸化物イオンの拡散によって酸化鉄の還元反応が促進されることが示唆された。 以上述べたように、イオン伝導体の界面における特異な輸送現象が観測された。次年度以降、その加速機構の詳細な検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高イオン伝導率を有する複合型固体電解質材料の開発を目的として検討を進めているが、今年度は、プロトン伝導性リン酸チタニウム系ガラス-セラミックスの材料開発において、結晶化制御によって高プロトン伝導率が得られる成果が得られた。また、酸化鉄の還元反応に対する酸化物イオン伝導体の反応促進効果も観測され、異相界面におけるイオン輸送現象の関与が期待される実験結果が得られた。得られた知見は、提案する電池デバイスの有効な基礎的知見であり、それらを勘案すると、本研究は順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
高イオン伝導率を有する複合型固体電解質材料の合成を行うと共に、イオン伝導加速機構について詳細な検討を行う予定である。インピーダンススペクトル解析を用いてイオン伝導機構の検討を行う。さらにイオン伝導機構の詳細を明らかにするために、以下の項目を検討する。 # 界面・粒界構造、構造変化 : 観測手法:XRD、電子顕微鏡(SEM, TEM)、走査型プローブ顕微鏡、熱分析 これらの検討を通じて、観測結果とイオン輸送との相関から界面でのイオン輸送機構の理解をめざす。続いて、合成した複合伝導材料を基に金属-空気電池の作製を行い、中温域(200~400℃)における電極酸化・還元反応の観測を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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