2013 Fiscal Year Annual Research Report
脱塩素化集積物における代謝ネットワーク構造の解明とモデル系の構築
Project/Area Number |
24651075
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
二又 裕之 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50335105)
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Keywords | Bioremediation / Dechlorination / Dehalococcoides / Methanogens / Competitive inhibition |
Research Abstract |
土壌および地下水の主要な汚染物質である塩素系有機化合物は難分解性かつ発癌性等の毒性が知られており、汚染環境の迅速かつ安全な浄化が求められている。特定の嫌気性微生物は塩素系化合物を最終電子受容体とする塩素呼吸を行う過程で、脱塩素化し無害化することが報告されている。しかし、実際の現場では多種多様な微生物が生息する複雑系であるため、効率的な浄化を可能とする微生物生態系をどのように制御すれば良いのかに関しては未解明の部分が多い。それ故、本研究では嫌気微生物生態系の制御に基づく効率的な浄化方法の確立を最終目標とした。そこで、トリクロロエテン(TCE)完全脱塩素化集積培養物を用いて、TCEからエテンまでの完全脱塩素化に関わる代謝フローの解明を目的とした。一連の継代培養物を用いて、脱塩素化活性の差異を微生物生態学的に解析した。その結果、これまで水素を巡る、”Dehalococcoides”とMethanogensの競合が脱塩素化活性に影響すると考えられてきたが、実は、嫌気的酢酸酸化細菌とMethanogensの酢酸を巡る競合が重要であることが示唆された。加えて、”Dehalococcoides”と嫌気的酢酸酸化細菌の種間水素伝達系をどのようにして構築するかが今後の重要な課題になるといえるだろう。本件に関して現在更なる研究を進展中である。
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Research Products
(5 results)