2013 Fiscal Year Research-status Report
環境共生長寿命住宅の実現へ向けたバイオアコースティクスの利用
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24651081
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
大鶴 徹 大分大学, 工学部, 教授 (30152193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 則子 有明工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (00452912)
富来 礼次 大分大学, 工学部, 准教授 (20420648)
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Keywords | 環境共生住宅 / シロアリ / デジタル信号処理 / 振動・音響信号 / バイオ・アコースティクス |
Research Abstract |
本研究は、日本における代表的な木材劣化生物である地下シロアリを対象に「振動・音響信号による地下シロアリの摂食活性の変化の検討」「地下シロアリの摂食活性を制御する振動・音響信号の開発」の2つの検討を行い、環境への影響が少ない振動・音響信号を用いた木材劣化の防止、ひいては環境共生長寿命住宅の実現を目指す。本年度は研究実施計画にも記載した2項目に対し、それぞれ以下の成果が得られた。 1. 木材に付加する振動・音響信号の種類とイエシロアリの摂食活性との関係の検討:前年度研究の結果、木材に振動を付加した場合、付加する信号の量が大きいほど摂食活性が低下する傾向が見られた。本年度は、引き続き前年度に構築した実験環境において、付加する信号の周波数特性に関する検討を行ったが、これまで以上に摂食活性が低下する信号は得られなかった。 2. イエシロアリの摂食活性を制御する振動・音響信号の普遍性検討:前年度までは、本実験に京都大学生存圏研究所コロニーBのイエシロアリを使用していた。本年度は実験の普遍性検証のため、同研究所のコロニーCおよび鹿児島県の松林で採取された野生のイエシロアリを対象に、木材への振動・音響信号の付加によるイエシロアリの摂食活性の変化に関する検討を行った。その結果、京都大学生存圏研究所のコロニーCのイエシロアリでは、これまでの実験結果同様、木材への信号の付加により摂食活性が低下した。一方、鹿児島県の松林で採取された野生のイエシロアリでは、木材への信号の付加により摂食活性に明確な変化が見られなかった。ただし、本年度の実験は冬季に行われ、振動・音響信号を付加しない木材への摂食量がこれまでより少なかった。野生のシロアリは季節により摂食量が変化するため、今後さらなる検討を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者と研究分担者間の連絡もきちんとなされており、研究連携者との連携および研究協力者の協力も予定通り得られ、研究実施計画に記載した項目が順調に実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
野生のシロアリを用いた実験結果については、早急に研究協力者の京都大学生存圏研究所吉村教授と、これまでの実験結果との比較方法および本年度の実験手法について議論する。 最終年度として、本年度までの研究の継続および追加として以下の研究を予定している。 ・摂食活動以外の振動・音響信号の収集・分析:兵アリから危険を知らせる際に発生されると考えられている振動・音響信号等、地下シロアリの挙動と関連すると考えられる、摂食活動以外の振動・音響信号の収集・分析を試みる。 ・振動・音響信号の発生手法と地下シロアリの摂食活性との関係の検討:前項の成果とあわせ、木材への振動・音響信号の付加方法に関し、3種以上試行し、地下シロアリの摂食活性の変化を観察する。その結果より、環境への影響やコスト面も考慮に入れ、最も効果的な信号の付与手法を提案する。 また、必要に応じて研究テーマの取捨選択を行う。具体的には、木材に付加する振動・音響信号の種類とイエシロアリの摂食活性との関係の検討および、地下シロアリの摂食活性を制御する振動・音響信号の開発を優先的に実施する予定である。
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Research Products
(2 results)