2013 Fiscal Year Annual Research Report
コロイド科学的技法を用いた硝化・脱窒菌積層型バイオフィルムの設計
Project/Area Number |
24651082
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
野村 俊之 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00285305)
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Keywords | バイオフィルム / 生物学的脱窒素法 / バイオコロイド |
Research Abstract |
生物学的脱窒法では、硝化と脱窒の2工程によりアンモニア態窒素を無害な窒素に変換する。しかし、硝化反応では好気的環境、脱窒反応では嫌気的環境が要求されるため、必然的に2つの反応槽が必要となる。自然界に形成されるバイオフィルムの上部層は好気状態、下部層は嫌気状態となっている。これは、一つのバイオフィルム内に異なる環境を創出できることを意味している。本研究では、コロイド科学の技法を駆使することで、自然界のバイオフィルムを模倣した硝化・脱窒菌の複合バイオフィルムを人為的に設計することを目的とした。 平成25年度は、脱窒菌と硝化菌の複合バイオフィルムの形成について主に検討を行った。まず、硝化菌と脱窒菌の接触角の実測値から求めた表面張力に基づき、両者の付着による自由エネルギー変化を評価した結果、熱力学的に付着し難いことが分かった。また、硝化菌と脱窒菌の細胞混合溶液を振とうしたが凝集物は観察されず、実験面からも同様の結果が確認された。そこで、硝化菌と脱窒菌を人為的に付着させるために、第3物質の添加による付着促進について検討を行った。まず、脱窒菌をガラスビーズで破砕した溶液を硝化菌と脱窒菌の混合溶液に添加し、形成された凝集体をFISH法により解析を行ったが、脱窒菌が選択的に凝集していることが分かった。次に、アミノ基を備えたキトサン、ポリエチレンイミン、ドーパミンをそれぞれ細胞混合溶液に添加した結果、ドーパミンを加えて30分間処理すると、硝化菌と脱窒菌の付着が促進されることがFISH法により明らかとなった。この手法を用いて、平板担体上に形成した脱窒菌のバイオフィルムをドーパミン処理することで、脱窒菌と硝化菌の複合バイオフィルムの形成に成功した。
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Research Products
(3 results)