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2013 Fiscal Year Research-status Report

植物のフィトレメディエーション機構解明と実用化に向けた取り組み

Research Project

Project/Area Number 24651087
Research InstitutionFukuyama University

Principal Investigator

太田 雅也  福山大学, 生命工学部, 教授 (00203802)

Keywords環境修復技術 / フィトレメディエーション
Research Abstract

セイタカアワダチソウの根及び葉茎部分から得られた糖脂質成分は、組換え体シロイヌナズナのPCB取込み量に依存したGUS活性を上昇させることが認められた。さらに糖脂質成分をステリルグルコシド(SG、ステロール組成:スチグマステロール)、モノガラクトシルジグリセリド(MGDG、脂肪酸組成:18:3-18:3)、セラミドモノグルコシド(CMG、セラミド組成:t18:1-C24h:0)、ジガラクトシルジグリセリド(DGDG、脂肪酸組:18:3-18:3)に分画し、主要な糖脂質であるSG、MGDG、及びDGDGの3成分は、いずれも組換え体シロイヌナズナのPCB126誘導GUS活性を上昇させた。特に、SGとDGDGの添加は、無添加の場合と比べて3~5倍の上昇が認められた。これに対して、大豆由来のSG(ステロール組成:β-シトステロール)や小麦由来のDGDG(脂肪酸組成:16:0-18:2)の添加によるGUS活性の上昇は、ほとんど認められなかった。このことは、糖脂質成分の脂溶性性質に関わる脂肪酸やステロール組成が組換え体シロイヌナズナのPCB取り込みに影響を及ぼしており、植物体中の脂肪酸やステロール組成が、植物体自身のPCB同族体の取り込み吸収に強く関与していることが示唆された。
一方、ヨウシュヤマゴボウの葉から抽出した糖脂質成分もフェナントレン可溶化能に加えて、組換え体シロイヌナズナのPCB126誘導GUS活性の上昇が認められた。ヨウシュヤマゴボウ中の糖脂質成分は、セイタカアワダチソウなどに存在するMGDGやDGDGに加えて特徴的な10種類ほどのフィトラッカサポニン群の存在が認められ、これらのフィトラッカサポニン群も、フェナントレン可溶化能、および組換え体シロイヌナズナのPCB126誘導GUS活性の増加が認められたことから、PCB同族体の吸収に関与している物質となりうることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

組換え体シロイヌナズナを用いるバイオアッセイについては,一昨年までに報告した微生物の生産する糖脂質に加えてセイタカアワダチソウの糖脂質の添加により、PCB同族体のTEF値依存的な精度管理が行うことができ、バイオアッセイだけでなく、汚染浄化技術への応用が期待できる。
また、このアッセイ系の利用により、ヨウシュヤマゴボウ中により有効なバイオサーファクタント成分を見出すことに成功した。これらの成分についての詳細な解析は今年度継続して行う。さらに、セイタカアワダチソウに存在している糖脂質成分の解析により、特異的なセラミド成分やステロールを含む糖脂質がPCB同族体の取り込み吸収に関与していること、またその糖脂質の局在場所から、取り込み吸収にはステロール配糖体が関わり,根から葉茎への移行にグリセロ型糖脂質が関与していることが示唆され,フィトレメディエーション機構の解明に繋がると思われる。

Strategy for Future Research Activity

1)今年度に引き続き、PCB同族体の高蓄積植物のダイオキシン類の取り込みに係るバイオサーファクタント類と体内移行に係るキャリヤータンパク質の検索を行う。
2)ヨウシュヤマゴボウから得られたフィトラッカサポニンの構造とサーファクタント能との関連を明らかにする。
3)植物によるフィトレメディエーション(フィトエクストラクション)の機構を明らかにし、その利用方法の開発を目指す。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当該年度は,バイオアッセイ系の実験が多くなり,糖脂質の分離や解析に使用する溶媒や器具(薄層やカラム)の使用量が少なかったため、それらを購入するために計画していた予算が残ってしまった。
次年度は、ヨウシュヤマゴボウ由来のサーファクタント様成分、フィトラッカサポニン類の分離精製、及び構造解析が中心の実験となる。そのため、植物体から抽出する際に使用するクロロホルムなどの溶媒類、分離精製時に使用するイアトロビーズカラムや薄層など、そして構造解析時に用いるHPLCやGCのカラム類を購入する必要がある。また、GC-MSやLC-MS分析時のバイアルやフィラメントなどの消耗品類も必要となるため,次年度の助成金は、それらの購入のために使用する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] セイタカアワダチソウ抽出物を利用した組換え型AhR/GUSレポーター遺伝子系導入シロイヌナズナによるPCB同族体のファイトモニタリング2013

    • Author(s)
      嶋津小百合、太田雅也、芦田 均
    • Organizer
      日本農芸化学会関西・中四国・西日本支部2013年度合同広島大会
    • Place of Presentation
      県立広島大学(広島市)
    • Year and Date
      20130905-20130906
  • [Presentation] Application of Solidago Canadensisi extract to phytomonitoring of polychlorinated biphenyl congeners in the transgenic Arabidopsis plants carrying the recombinant guinea pig aryl hydrocarbon receptor-mediated β-glucuronidase reporter gene expression system2013

    • Author(s)
      S. Shimazu, M. Ohta, and H. Asida
    • Organizer
      The 33rd International Symposium on Halogenated Persistent Organic Pollutants and POPs
    • Place of Presentation
      Daegu, Korea
    • Year and Date
      20130825-20130830
  • [Presentation] セイタカアワダチソウのPCB同族体の取り込み・移行促進物質の探索2013

    • Author(s)
      嶋津小百合、内山琢磨、太田雅也、芦田 均
    • Organizer
      日本農芸化学会2014年度大会
    • Place of Presentation
      東北大学(仙台市)
    • Year and Date
      20130325-20130327

URL: 

Published: 2015-05-28  

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