2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24651094
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
菅野 憲一 近畿大学, 工学部, 教授 (90330323)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ソフトマテリアル / 生物多様性 / 廃棄物 |
Research Abstract |
第繁殖するアオサ、侵略的外来種ワカメの有効利用をする方法としてそれらが含羞する多糖ウルバン、アルギン酸の機能化を検討している。アオサに含まれる硫酸化多糖ウルバンを熱水抽出する工程で、アオサ残渣の除去は時間を要していた。これを塩化第二鉄を用いた凝集沈殿法を組み合わせることで解決した。 ウルバンおよびアルギン酸を種々のジイソシアネートで化学修飾したところ、不溶性の目的物を得ることができた。赤外吸収スペクトルおよび元素分析の結果、目的とする修飾多糖が得られていることが示された。これらの新規ウレタン化多糖のうち、ウルバンに関しては少量しか得られていないため、修飾アルギン酸にに関して重金属イオンの吸着除去実験を行った。水溶液中のCuおよびCoイオンの80%を除去することができた。 ウルバンとキトサンによるポリイオンコンプレックスは、水溶液中の重金属イオン(CuおよびCoイオン)を除去することを示した。吸光光度計による解析では阻害物質による影響で吸着率の定量性に問題があったため、原子吸光スペクトルによって調べた。その結果、0.025g/mlのCo水溶液に関しては、ウルバン-キトサンゲルは11.5%、アルギン酸-キトサンゲルは23.5%の吸着率を示した。 人工透析における膜や膜の修飾体への応用も期待し、上記のゲルの血液への適合性を調べるために、まず、アルギン酸-キトサンゲルの尿酸およびアルブミン吸着挙動を調べた。ゲルへ250および500mg/Lの尿素吸着を作用させた場合、いずれの濃度においても50%程度の尿素を除去することができた。人工透析中にアルブミンが透析膜に吸着すると患者の脱力感を感じるため、吸着除去されないことが望ましい。アルブミンは1g/mlから100mg/mlの濃度での吸着を調べたところ、10%から80%のアルブミンが濃度依存的に除去される結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抽出方法の最適化は結果を得ることができた。ゲル化の最適化に関してもキトサンとのポリイオンコンプレックス型、ジイソシアネートによる架橋型などを得ることができた。生体適合性に関しても、血液成分への作用に関してある程度の知見を得ることができた。環境浄化材料を目指した重金属イオンの吸着除去も濃度依存的にイオンを除去可能であることが示された。しかし、ウルバンに関してはアオサから抽出できる量が少ないためコストの問題が残る。生分解性材料への展開に関しては、ウルバン、アルギン酸を化学修飾し、重金属イオン除去も可能であったが、生分解性試験の結果を待たなければならない。
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Strategy for Future Research Activity |
環境浄化材料としての検討を進める。 生分解性ポリウレタンに関しては、ポリウレタン基の導入よりも、24年度に実績を得ることができたジイソシアネートによる架橋型ゲルとポリイオンコンプレックスル型ゲルをメインにした手法で進めてゆく。このことで、材料そのものの研究に割く時間を、環境浄化材料および生体適合性材料、生分解性材料開発へ移行する。 アルギン酸による担保は24年度にある程度できたため、ウルバンを原料とする実験と平衡して進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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