2013 Fiscal Year Annual Research Report
イオンビームによる細胞へのドーピングと細胞機能修飾
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24651106
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
品田 賢宏 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノエレクトロニクス研究部門, 研究部門付 (30329099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝日 透 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80222595)
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Keywords | 細胞機能修飾 / ドーピング / イオン注入 |
Research Abstract |
本研究では、申請代表者らが半導体物性制御用に世界に先駆けて開発した単一イオン注入技術(イオンを1 個ずつ数10nm の精度で注入可能)を応用して、ドーパント原子を生きた細胞に注入し、細胞機能修飾を試た。具体的には、慢性関節リウマチ治療に効果が知られているAu、抗がん剤シスプラチンに含まれるPtヒントを得て、細胞へのドーピングを実施、生きた細胞に対する注入効果の検証に着手した。細胞機能修飾を通じて生命現象を解明し、半導体用に開発されたイオン注入法の細胞生物学分野への新展開を図り、創薬分野に資することを研究目的とした。H25年度は、H24年度に実施した「研究項目1 生きた細胞へのドーピング効果の検証」に続いて、「研究項目2:細胞レベルでの治療に有用な元素の探索」、および「研究項目3:ナノ毒性学(Nanotoxicology)への展開」に取り組んだ。 研究項目2:細胞レベルでの治療に有用な元素の探索 生きたがん細胞(HeLa)を凍結させた状態でAuイオンを注入し、アデノシン三リン酸(ATP)量の測定を通じて、ドーピング効果を検証した。その結果、未注入の細胞と比べて約50%ATP量が増加することを確認した。また、Geの細胞への有用性を見出し、Geイオン注入実験に着手した。 研究項目3:ナノ毒性学(Nanotoxicology)への展開 本研究手法は定量性に強みを有する。通常、元素種に依らず細胞への過剰暴露はアポトーシスをもたらすことが常識となっている中で、特に微量元素の導入が可能で有り、生きた細胞へのドーピング効果の確認を得て、創薬だけでなく、半導体製造で多用されるAsドーパントの細胞への影響検証など毒性学に資するツールを提供できることを実証した。国際半導体テクノロジーロードマップ(ITRS)が章を設置して関心を寄せる環境・安全・健康(ESH)に対して、本研究手法の有用性を確認した。
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