2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24651109
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 義人 独立行政法人理化学研究所, 放射光科学総合研究センター, ユニットリーダー (80260222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 基巳紀 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (20506109)
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Keywords | 光ファイバー / X線 / 放射光 |
Research Abstract |
昨年度につづき、放射光X線ビームを伝送させるための中空ガラスファイバーを設計、導入し、その特性評価を進めた。本課題では、X線ファイバー光学系によるX線照射方向や照射位置の制御を行うことを目標としており、将来的にはパルス遅延時間制御や偏光制御などへの応用につながる性能を目指すものである。 X線は中空ガラスファイバー中で全反射を繰り返しそのファイバー方向に導かれる。このとき、全反射臨界角が存在するため、ファイバーの曲率に制限があり、その姿勢制御が重要となる。そこで本課題では、曲率を制御する方法として、肉厚を調整した中空ガラスファイバーを用い、その基本特性をSPring-8のアンジュレーター光にて評価した。昨年度は、長さ0.7 m、内径50 ミクロンのケイ酸ガラスファイバーに、波長0.1 nmのX線を導入し、出射側の固定治具を掃引することにより、±40 mrad以上の偏向角の制御を行うことができた。その最大透過率は60 %以上、最大6E10 photons/sまで確認した。今年度は、長さ1.5 m、内径20ミクロンのケイ酸ガラスファイバーについて透過率および強度の、波長、曲げ角特性を系統的に測定し、ビーム軸を±70 mmシフトさせることに成功した。透過率は波長0.1 nmのX線に対して、約20%であった。これを用いて、サイズ70 mm×15 mmの固定薄膜試料に対して、ファイバー終端掃引による吸収率マッピング測定のデモストレーションを行った。当該成果は、学術雑誌J.Synchroton Rad. 21, 61(2014)に掲載された。 また、ファイバーの材質として合成石英を採用したところ、内径20ミクロン、外径1.5 mm、長さ1.5 mのもので、70%以上という高い透過率が得られた。さらに、2本の1.5 m長のファイバーを接続し、3 m長の伝搬を実証することができた。以上の結果から、これらのファイバーを用いた場合、16 psの時間遅延が得られることが見積もられた。
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Research Products
(4 results)