2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24651115
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂口 浩司 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (30211931)
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Keywords | 分子細線 / 表面重合 / 電気化学 |
Research Abstract |
グラフェンナノリボンは“有限幅を持つグラフェン”すなわち“梯子型導電性高分子”であり、優れた半導体的性質を持つことが理論的に予測されている。しかし完全共役系を達成する反応が難しく、且つ不融・不溶であるため、有効な合成法の確立が世界的に望まれている。我々は、単一分子レベルで導電性高分子の長さ・密度・方向・形を任意に制御しながら金属表面上に合成する分子細線構築技術、電気化学エピタキシャル重合を開発した。本研究提案ではこの手法を用い、(1)液相法である電気化学を用いて、原料である“分子パーツ”を電極表面で重合させてグラフェンナノリボン前駆体を形成させ、(2)高真空中で前駆体を加熱し、脱水素縮環反応を起こさせる、液相中の電気化学と高真空中加熱を組み合わせた新しいグラフェンナノリボン合成法の提案と実証を行うことを目的とした。以下の成果を達成した。有機合成したナフタレン誘導体を含む電解質溶液中で、金単結晶電極にパルス電圧を印可することにより、電極表面上でナフタレン誘導体が重合、更に脱水素縮環が起こりナフタレン系グラフェンナノリボンの電極表面上での合成に成功した。走査トンネル顕微鏡測定より、最長で長さ30nmのワイヤ状の構造を確認し、金単結晶上に配列して成長することを明らかにした。またラマン分光顕微鏡により得られたスペクトルは、ナフタレン系グラフェンナノリボンのシュミレーションとほぼ一致することを確認した。更に、質量分析装置により、低分子量のグラフェンナノリボンを選択的に解析することができ、このモノマーが高い脱水素縮環率を持つことを明らかにした。更に、金単結晶上に電気化学合成したグラフェンナノリボンをシリコン基板や石英基板に転写することに成功し電気測定や光学測定が可能となり、バンドギャップやホール移動度等の各種物性を明らかにした。
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