2013 Fiscal Year Annual Research Report
接合制御ジョセフソン素子を用いた低温量子伝導現象の研究
Project/Area Number |
24651122
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
辻井 宏之 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (10392036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神原 浩 信州大学, 教育学部, 准教授 (00313198)
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Keywords | 破断接合 / ジョセフソン接合 / 量子化コンダクタンス / トンネル現象 |
Research Abstract |
ブレークジャンクションは、基板を機械的に変形させることによって基板上に設置した金属細線を破断するとともに、破断された細線間の距離をナノスケール以下の精度でコントロールする実験方法である。本研究では、ブレークジャンクションを用いて制御した超伝導接合に様々な物質を挟み込むことで、新奇ジョセフソン・ジャンクションの低温量子伝導現象を探索することを目的として実験を行った。 超伝導の微小接合を用いた実験の前段階として、昨年度までにコンダクタンスの量子化が最も明瞭に観測された金を用いて、ブレークジャンクションで作製した接合部に物質を挟んだ場合にどのような変化が現れるのかを検証した。ジャンクションにヘリウム原子を吸着させたとき、接合の距離に対して指数関数的な真空中でのコンダクタンスの振舞いから逸脱し、コンダクタンスの減少が観測された。ヘリウム原子がトンネル状態での電子輸送に影響を及ぼしていることを示唆している。過去の報告ではヘリウム原子サイズ程度の接合距離で異常が現れたのに対して、それよりも短い距離で観測されており、ヘリウムの圧力などを変えた詳細な実験により原子吸着による電気伝導への影響の解明が新たな課題となった。 Nbワイヤーを用いた超伝導での実験では、ジャンクションの距離を変えながら電流電圧特性を測定した。コンダクタンスが小さくなるにつれて、臨界電流が観測できなくなり、それに変わって微分コンダクタンスに0Vのときのブロードなピークが出現した。Nbのナノサイズ化が臨界電流に何らかの影響を与えていると考えられる。常伝導および超伝導での実験を通して、様々な物質を挟みこんだジョセフソン接合の研究を確立できる目処が立った。
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Research Products
(6 results)