2014 Fiscal Year Annual Research Report
脂質二重膜の安定性の破れのリアルタイム観察および理論解析
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24651134
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
瀧口 金吾 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20262842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅田 民樹 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (90243336)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脂質二重膜 / 生体膜 / リポソーム / 光学顕微鏡 / 細胞骨格 / 膜小胞内再構成 / 光ピンセット / 膜の力学特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工脂質膜小胞(リポソーム)は、脂質二重膜を基本構造に持つ生体膜の最も単純な実験モデルであり、細胞と同等のサイズを持つ巨大リポソームは、光学顕微鏡でその動態の直接観察が可能である。 生物の運動は、細胞の内部と外界との境界を成す生体膜と、アクチンや微小管、これら蛋白質線維と共同して働く分子モーター、そして様々なそれらの制御調節蛋白質とから構成される細胞骨格系とが連携して働くことで実現される。その連携機構を明らかにするために、生体から単離精製して得たアクチンとミオシンを内部に封入再構成した巨大リポソームを界面通過法によって調製し、細胞サイズの脂質膜で区切られた閉じた空間内での細胞骨格系のバルクの溶液中とは異なる挙動を観察解析し、排除効果や混雑効果の影響を明らかにした。なお界面通過法は、脂質を溶解させた油中で形成させた水溶液の液滴が油水界面を通過すると脂質二重膜の小胞が形成されることを利用した巨大リポソームの作製方法である。 アクチン線維や微小管が重合または脱重合して伸長や短縮する際に発生させる力、アクチン線維や微小管に沿って分子モーターのミオシンまたはキネシンが滑り運動する際に発生させる力、これらの力は数pNの大きさで、各蛋白質の濃度に依存して変化し、分子モーターの種類に依存して異なっていることが既に明らかにされている。一方、脂質二重膜を変形させるために必要な力の大きさについても十から数十pNであることは我々の先行研究から分かっていた。しかし、その力学的な性質が、膜の脂質組成や溶液条件によってどのような影響を受けるかについては不明であった。今回、様々な脂質組成で調製したリポソームを異なる溶液条件下で光ピンセットを用いて操作することで、膜に酸性リン脂質が含まれていると膜が変形し難くなること、リポソーム内外の水溶液に蛋白質が含まれていると膜が変形し易くなることを発見した。
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Research Products
(13 results)