2012 Fiscal Year Research-status Report
原子分解能X線顕微法の実証と転位イメージングへの応用
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24651137
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 幸生 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00415217)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | X線イメージング / 国際情報交換(ドイツ) |
Research Abstract |
コヒーレント前方回折データとコヒーレントブラッグ回折データを組み合わせることによって原子分解能を有するコヒーレントX線回折イメージングが原理的に可能である。平成24年度は、まず最初に、銀ナノキューブを用いた原子分解能コヒーレントX線回折イメージングの計算機シミュレーションを行い、その実現可能性の検討を行った。銀ナノキューブ粒子からの前方コヒーレント回折強度パターンと(200)面、(200)面からのコヒーレントブラッグ回折強度パターンを計算し、それらを組み合わせ一枚の回折パターンとして、位相回復計算を実行すると格子像を再構成することができ、原子分解能イメージングが可能であることが分かった。また、原子分解能コヒーレントX線回折イメージング実験を想定したデータ収集・解析システムを開発した。計算機シミュレーションの結果、銀ナノキューブからのコヒーレント前方回折データとブラッグ回折データを同時に取得するためには、大面積の二次元検出器が必要であることが判明した。また、前方回折スポットとブラッグ回折スポットの間で観測される微弱な散乱パターンを観測するためには、高強度の入射X線強度が必要であることも分かった。そこで、世界最高強度を有するドイツの放射光施設PETRAIIIにおいて実験を行った。ビームラインは大面積二次元検出器PILATUS(6M)を利用可能なイメージングビームライン(P10)を使用した。銀ナノキューブのコヒーレントX線回折パターンを測定したところ、前方回折データを観測することには、成功したが、試料と検出器間が大気であったため、空気の吸収が大きく、ブラッグ回折を含む高角散乱強度を取得することはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定である計算機を駆使した原子分解能コヒーレントX線回折イメージング実験を想定したデータ収集・解析システムの開発に加え、放射光実験による予備的な実験を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の実験結果に基づいて、原子分解能コヒーレントX線回折イメージング実験を第三世代放射光施設SPring-8で行う。試料には、銀ナノキューブよりも散乱能を大きい金ナノキューブ粒子を用いることで、高角散乱強度を高い信号対雑音比で取得することを目指す。また、タイコグラフィーを組み合わせた方法を開発し、単結晶薄膜中の転位歪み場の観察を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
放射光実験で必要な真空部品や試料調製で必要な薬品等の消耗品の購入に使用する。また、SPring-8までの往復旅費や滞在費、研究成果発表のための国内・国外出張旅費に使用する。
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