2012 Fiscal Year Research-status Report
低エネルギー消費型光学応答性極微細素子プロトコルの創出
Project/Area Number |
24651139
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣瀬 敬治 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (10252628)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 1分子科学 / ロタキサン / キラリティー / クラウンエーテル |
Research Abstract |
ロタキサン研究の最大の問題点は決定的な合成法が無い事、明確な用途を提示できるだけの物性が探索されていない事、そして激しい熱運動の明確な制御技術が無い事にある。一般にロタキサンの合成法としては超分子法が有効であり、共有結合法は合成段階が長く、低収率になるとされる。しかし、応募者が提唱するリング・ストッパー成分結合型プレロタキサンに対し、かさ高いアミンを作用させるというアイディアのロタキサン合成方法では、高いロタキサン選択性のみならず化学収率もほぼ定量的であることに加え、反応試薬や触媒が不要なので後処理も簡便となる斬新かつ実用的に有用なものである。実際に、ロタキサン化学で夢であったほぼ100%ロタキサン選択性でほぼ定量的に進行する反応も見いだしている。本法の合成収率、操作、応用範囲の広さ等が明確になれば材料としてのロタキサン合成に対する見方を一新させることも可能であり、応用分野の発展に大きく貢献すると期待できる。そこで、環員数の異なるクラウンエーテルのアミノリシス速度、ロタキサン選択性および収率に対する影響のデータを調べ、ロタキサン合成に適する環サイズの範囲を解明した。この検討により、通常、合成が非常に困難とされている27員環のクラウンエーテルを輪分子とするロタキサンでも比較的効率的な合成ができることがわかった。また本反応機構の解明に寄与する知見となる。アミノリシスの加速におよぼすクラウン環の必要性を検討するために比較的容易に合成できるリファレンス化合物2、3では全く反応が進行しないことが確かめられた。このことは、本反応の機構において、クラウンエーテルが遷移状態のエネルギーを下げるように働いていることを示す有力な証拠とになる。本反応においてロタキサンとダンベルの収率と反応速度の相関データより、速度論的に選択性およびロタキサンとダンベルの各々の収率を予知できることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した計画の項目のすべてのデータをとることができ、概ね想定どうりの結果を得ることが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通りに、ロタキサン固有のキラリティーを有するロタキサンの合成と特異的光学物性の探索を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
合成の効率を高めるため購入する計画の分取用カラムなど、有機合成に必要な消耗品や備品を整備するとともに、情報の収集と研究結果の発表のために必要となる備品や消耗品、および旅費に使用する計画である。
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