2013 Fiscal Year Annual Research Report
金マイクロパターンによる表面支援脱離・イオン化質量分析法の開発
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24651146
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
新留 康郎 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50264081)
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Keywords | ナノ材料 / ナノバイオ |
Research Abstract |
本研究では金属ナノナノロッドを数個からサブミクロンサイズに構造化した凝集体を形成し、凝集体のサイズと脱離イオン化効率を検討した。オリゴペプチドの脱離イオン化効率は小規模な凝集体(3個から8個程度)の一部が非常に高効率な脱離イオン化効率を示すことを見いだした。質量分析の際にレーザー光を照射したスポットでは、凝集体がパルスレーザー光によって供給された熱によって融合し、球状粒子が生成していることを確認した。オリゴペプチドの脱離イオン化と同時に金ナノ粒子の融合やアブレーションが進行していることが明らかになった。一方、金イオン(Au+)あるいは金クラスターイオン(Au2+, Au3+)の脱離イオン化効率は凝集体のサイズにあまり依存しないことが明らかになった。金ナノロッド凝集体からの金イオンの脱離イオン化は凝集状態に関係なく起こることがわかった。 サブミクロンサイズの大きな金凝集体が多く存在する場合は、金イオンは検出されるもののオリゴペプチドの脱離イオン化効率は悪くなることから、金イオンが大量に脱離することによる有機物の脱離の抑制現象が起こっていると考えられる。各種実験を総合すると、MALDI-MS測定装置のパルスレーザー光源(355 nm, ~10 ns)を用いた場合の金の脱離イオン化(融合とアブレーション)の効率は極めて高く、少なくとも有機物層では抑制できないことが強く示唆された。本来酸化力の強い金イオンが有機物では抑制でできないという現象は、金が基板表面から中性の金クラスターとして熱的に脱離し、その脱離後にイオン化していることを強く示唆している。また、無機物で凝集体を保護した場合は、無機物層が厚すぎると金の効果が認められず、無機物層が薄いと金の脱離を抑制でなかった。サブナノメートルサイズで均一に保護層を構築する技術が必要であることがわかった。
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Research Products
(9 results)