2012 Fiscal Year Research-status Report
核酸ナノ構造体で構築したタンパク質ネットワークを利用した新規ナノリアクターの開発
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24651150
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中田 栄司 京都大学, エネルギー理工学研究所, 講師 (70467827)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 核酸ナノ構造体 / タンパク質 / ネットワーク / ナノリアクター |
Research Abstract |
生体内では、複雑に組み合わさったネットワークが多数存在しており、その中で様々な物質が変換され、さらにそれぞれが相互に干渉しながら生命活動を営んでいる。このような生体内ネットワークを手本とし、我々にとって有用な部分を抽出した上で、試験管内で再現あるいは模倣することができれば、高機能な物質変換反応をおこなうことができるシステムが構築できると期待される。しかしながら、これまでに構成要素の分子数や空間的配置・配向までの精密な制御に関しては実現されていない。そこで、我々はDNA origami(Nature 2006, 440, 297.)に代表されるDNAナノ構造体が、高精度な集積を行うための足場として有用であることに着目し、DNA結合性タンパク質をアダプターとし、その結合を介してDNAナノ構造体上のアドレスに対し、複数のタンパク質を緻密に集積させたナノリアクターの構築を目指している。 これまでにDNA結合性タンパク質の一つであるZinc Fingerタンパク質(ZFP)を用いてDNAナノ構造体へ少なくとも2種類以上の単量体の機能性タンパク質を高選択的かつ高収率に配置できることを示し、我々の戦略が有用であることを示した。(Angew Chem. Int. Ed., 2012, 51, 2421.) また、提示したいタンパク質の性質に適したアダプターを選択できるよう、アダプターの拡張を行う目的で、二量体を形成して結合するDNA結合性タンパク質であるLeucine Zipper タンパク質(bZIP) についても評価し、その有用性を確認した。現在、これらの知見を基盤として、複数種類の機能性蛋白質を規則的に配置したナノリアクターを構築し、その機能を評価しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数種類の機能性蛋白質を規則的に配置したナノリアクターの構築に向けて、必要となる複数のアダプターの開発に関しては既に達成した。具体的には、2種類のZinc Fingerタンパク質(ZFP)と1種類のLeucine Zipper タンパク質(bZIP)をアダプターとして用いることに成功しており、機能性タンパク質を融合したアダプターを用いて、複数の機能性タンパク質を同時にDNAナノ構造体上の特定の位置に配置することができることを確認している。この技術を用いて、現在本研究目的であるナノリアクターの構築し、その機能評価をおこなっている段階であるため。また、さらに将来的な展開を見据え、アダプターの拡張やその改良についても取り組んでいるところであるため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに達成したアダプターを利用して、DNAナノ構造体上にタンパク質を含む機能性分子を複数種類配置していく。具体的には、相互に関連する複数の酵素を配置し、その酵素反応が、構成要素の分子数や空間的配置・配向などを変化させることで、どのような影響を受けるのかを評価していく。これを系統だっておこなっていくことで、構造体の性質と機能との相関関係について検討していく。また、展開する機能性分子の拡張も視野に入れている。さらに、現状のアダプターが含む問題点に関しても、改良を加えて解決を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費に関しては、主として研究遂行に必須となる物品の購入に用いる予定である。具体的には、DNAナノ構造体を作成するために必要となるオリゴDNA等が必要となるまた、大腸菌発現系を利用して、キメラタンパク質を作成するために、制限酵素やポリメラーゼ・コンピテントセル・ベクターなどが必要となる。さらに、構築したナノ構造体をAFMで構造観察するが、このためのカンチレバーも必要となってくる。 また研究成果を報告し、情報を収集するための学会参加に関する旅費等に使用する予定である。
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