2012 Fiscal Year Research-status Report
グラフェン/金属電極間の界面制御による短チャネルグラフェン電界効果素子
Project/Area Number |
24651166
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
神田 晶申 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (30281637)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | グラフェン / 電界効果トランジスタ / フェルミレベルピニング / 界面制御 |
Research Abstract |
グラフェンは高移動度を持つので電界効果トランジスタ(FET)の高速化への応用が期待されているが、グラフェンでサブミクロンのFETを作ると移動度が極端に減少することはあまり認識されていない。この原因は、電極金属とグラフェンの仕事関数差による接合界面での電荷密度の固定化であると考えられている。本研究では、FETのサイズを小さくしても高移動度が保持されるグラフェン/金属電極界面を形成することを目的として、24年度に以下の研究を行った。 1)金属/グラフェン/金属接合を同一プロセスで作成しても、細かな条件の違いによって、短接合の移動度減少の程度には差が出ることが分かった。これは、界面の制御が必要であることを示唆する。また、単一グラフェン上に長さの異なる接合を同時に作製・測定した結果、界面では、仕事関数から期待されるのとは逆向きにグラフェンがドープされていることが分かった。これは、仕事関数差による電荷密度の固定化という単純なストーリーでは現象が説明できないことを示唆する。 2)単層グラフェンと化学的性質が最も近い多層グラフェンを金属電極とグラフェンとの界面に挟み込むことによって、電極からのドーピングの影響を軽減することを目指して、基板上にある単層グラフェン上に多層グラフェンを直接成長する方法を開発した。触媒金属を用いたグラフェンのCVD成長法を応用し、アモルファスカーボン(a-C)/Ni積層膜をアニールした結果、グラフェンは成長したが、ラマン分光から欠陥が極めて多いことが分かった。これはNi膜がアニールによって微粒子化することが原因であると推察された。そこで、Ni膜をAu膜で覆ったところ、Niは膜状となり、ラマン分光からグラフェンの欠陥が大幅に削減されたことを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グラフェン短接合における移動度減少が系統的に再現され、その原因がわかりつつある。また、移動度減少を軽減するための手法の開発が順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
接合界面のパラメタを引き続き系統的に変化させることによって、短接合における移動度減少の原因を究明する。さらに、界面にを挟み込むことによって移動度軽減の抑制と低コンタクト抵抗を両立させるような物質の探索を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
多層グラフェンのCVD成長に使用する管状炉を改良するための部品の在庫がなく、納品に時間がかかることが判明したため、物品費の一部を次年度に繰り越すこととした。25年度は、管状炉部品を交換することによって、再現性の良いグラフェン成長を行うことができるようにする。さらに、高精度の電気伝導測定ができる環境を整える。
|