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2012 Fiscal Year Research-status Report

バイメタル型ナノアクチュエータの創成

Research Project

Project/Area Number 24651171
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

平原 佳織  大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (40422795)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywordsバイメタル / ナノアクチュエータ / ナノチューブ
Research Abstract

ナノチューブの形状や優れた特性を活かしたバイメタル型アクチュエータの創成を目指し、下記の成果を得た。
①作製条件探索および構造評価:直径約20nmの窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)にスパッタリング蒸着により白金(Pt)を蒸着した結果、BNNT表面の半分のみに厚さ10nmの一様なPt多結晶膜が形成され、PtとBNNTからなるバイメタル型構造が作製できた。蒸着面の裏側にもPt原子の回り込みが確認されたが、変形挙動には影響がない程度の微量であった。
また、作製した試料は、加熱中にBN/Pt界面の滑りや剥離が生じず、十分な界面強度を有することが実証された。平板状BNを用いて同条件でPt薄膜を形成した場合、100℃において蒸着界面で滑りを生じながらPt膜が収縮し、Pt/BNNTとは異なる結果を得た。BNが曲面構造を持つことによる界面相互作用の変化が示唆された。
②変形挙動の観察:透過電子顕微鏡(TEM)内で400℃まで加熱しながらその場観察した。結晶構造像からは室温~400℃においてPt膜の一様な熱膨張が確認でき、見積もられた熱膨張率はバルクPtの約3.5倍を示した。しかしながら、バイメタル的な変形挙動はみられず、約200℃においてPt結晶粒の成長が観察され、さらに温度を上昇させるとPt膜全体が収縮する方向に塑性的な湾曲変形を生じた。BNNTの高い剛性が本来のバイメタル的な可逆変形の妨げとなったことが示唆されたため、BNNTを、Pt蒸着面とは反対の方向からイオン研磨することによって、系全体の曲げ剛性を調整した。その結果、加速電圧1kV、4.5分間のイオン研磨によってBNNTの曲げ剛性が20~80%低減されたことを、TEM内での共振計測によって確認された。このBNNTを用いて作製したPt/BNNT試料は、室温~100℃の温度差によって再現性良く可逆的に変形することが示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

H24年10月~12月は産休により研究を中断したが、実験全般を実際に担当した大学院学生との連携は継続させていたため、当初の実施計画はおおむね達成している。作製した試料がアクチュエータとして動作する構造条件と温度領域を明らかにでき、H25年度は、当初の計画では主にH25年度後期に予定していた、性能向上に関する検討項目に集中して研究を進めることができる。
H24年度中に予定していて未実施の項目はマニピュレータに搭載する加熱ステージの作製のみとなるが、H25年度へ予算を繰り越しし,継続する予定である。また、H24年度の実施内容からは、観察に用いる電子線が変形挙動に対してどのように影響を与えるかを調べることが新たに課題として挙がった。さらに、BNNTでなくカーボンナノチューブを用いたバイメタル型構造の作製や、イオン研磨条件のより詳細な検討なども含め、H25年度の研究実施計画を検討する。

Strategy for Future Research Activity

①性能向上に資する構造制御の検討:TEMに搭載したナノマニピュレータを用いて、多層ナノチューブの内層を引き抜いたりリボン状の扁平な構造を作製するなど、ナノチューブの形状を制御しながら、より小さい駆動力(低い温度領域)で大きな変形が得られるような構造条件を探索する。また、H24年度に試みたイオン研磨について、より詳細な研磨条件を検討する。さらに、比較的高い温度でプレアニールを行った試料についても、その熱変形挙動を調べる。
②光学顕微鏡下での動作確認:パルス状に熱を与えながら動作を確認するため、光学顕微鏡下での観察を試みる。また、H24年度に行ったTEM観察において示唆された、熱変形挙動にたいする照射電子線の影響も合わせて確認する。
③カーボンナノチューブを用いたバイメタル型構造の作製も試みる。これによって、H24年度よりもより細いナノチューブが選択でき、どこまで小さく製作できるか、ダウンサイズの限界に挑戦する。ただし、Pt薄膜の形状や熱挙動との関係を合わせて調べる必要がある。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

出産休暇に伴い、H24年度中に製作を予定していたナノマニピュレータ用の加熱ステージの作製をH25年度に延期した。繰り越しした予算は、これの作製費や必要な消耗品の購入に充てると共に、必要なディスカッションを行うための旅費等に用いる。H25年度に請求する研究費は、当初の予定通り電子顕微鏡維持部品を中心とした消耗品費および成果発表等の旅費に用いる。

  • Research Products

    (1 results)

All Other

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 白金/窒化ホウ素バイメタル型ナノ構造体の作製と変形挙動観察

    • Author(s)
      元井啓順、平原佳織、中山喜萬
    • Organizer
      第4回機械学会マイクロ・ナノ工学シンポジウム
    • Place of Presentation
      北九州国際会議場、福岡県北九州市

URL: 

Published: 2014-07-24  

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