2013 Fiscal Year Annual Research Report
シナプスを模した時間ゲート電界誘起相転移スイッチの開発
Project/Area Number |
24651173
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
林 将光 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (70517854)
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Keywords | 金属半導体相転移 |
Research Abstract |
本年度は遷移金属酸化物VO2をスパッタ法を用いて製膜した。ターゲットには金属のバナジウム(V)と酸化物のV2O5を用いた。スパッタはアルゴンガスに微量の酸素(O2)ガスを混ぜて行った。酸素ガスの分圧比を変えることで、膜中の酸素濃度の制御を試みた。スパッタ時の基板温度は400-600度程度に設定し、酸化バナジウム膜の膜厚は40nm程度とした。酸化バナジウム膜を作製後、キャップ層として酸化アルミニウム(Al2O3)膜を1nm程度成膜した。 成膜した試料はX線回折装置で構造評価し、組成がVO2に近い試料は電気伝導度の温度依存性を測定した。 ターゲットに金属のバナジウム(V)を用いて作製した酸化バナジウム膜については、X線回折の結果から組成がVO2に近い構造のピークが何度か得られたが、再現性が非常に乏しかった。これはスパッタ中にターゲットが酸化してしまうことで、堆積する膜の酸素濃度も変わってしまうことが原因と考えられる。構造がVO2に近い膜は340度付近で金属・半導体層転移することが電気伝導測定からわかった。 一方、ターゲットに酸化物のV2O5を用いると、VO2とV2O3やV2O5の混成膜が得られた。基板温度が500-600度付近で、VO2相に相当するX線回折ピークの強度が増加したが、単相の状態を作製するのが難しく、V2O3のものと考えられるピークがともに観測された。得られた膜の電気伝導を測定すると、多くの試料が半導体であり、VO2相のピークが大きいもので金属・半導体相転移が観測された。ただ、電気伝導度の変化率が金属バナジウムターゲットを用いて作製したVO2膜と比較して小さく、VO2以外の相が混成していると推測される。 VO2単相が得られる成膜条件等の探索を行う必要があり、今後の課題とする。
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