2012 Fiscal Year Research-status Report
製品の放射能汚染リスクに対する消費者反応の原因・文化的相違とそれへの経営対策
Project/Area Number |
24651176
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
FRANK Bjoern 東京工業大学, 社会理工学研究科, 助教 (30467039)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マーケティング |
Research Abstract |
福島第一原子力発電所の事故から生じた放射能汚染の結果、消費者が被災地で生産された商品を避けるという傾向は、特に国外市場で、さらに国内市場でも確認されている。平成24年度に本研究では、まず製品が持つ放射能汚染リスクに対する消費者反応の原因及び文化的相違を探求することにした。具体的には、研究の枠組み及び理論を構築し、アンケートを設計し、それに消費者の製品に関する一般的な態度、放射能汚染リスクの下での態度、そして文化的性向について、それぞれリッカート尺度及びSD尺度を併用した複数の質問項目を用意した。アンケートを基に消費者の反応を測定するために、食べ物及び携帯電話、洋服といった文脈を取り上げ、日本及び米国、ボリビアにおいて消費者を対象にアンケート調査を行った。アンケートから取得した消費者の回答を電子化し、データベースを構築した。その後、データ入力の正確性とデータの妥当性を確認した。 発表した論文においては、食べ物の文脈で、放射能に敏感である子供の消費者行動と大人の消費者行動の相違点を分析した。その結果、子供の健康でない消費パターンの原因は、仲間集団圧力及び知識不足よりも認知発展の不足にあることを明らかにし、子供を守るための公衆衛生政策への提案を導いた。まだ査読中の論文では、製品が持つ放射能汚染リスクに対する消費者反応の原因及び文化的相違を探求した。その結果、放射能汚染リスクによる購買低減反応が特に強いのは、携帯電話よりも食べ物の文脈、日本人よりも外国人(特に欧米人)の消費者、そして中年と年配の消費者である。文化性向の中では、不確実性回避は放射能汚染リスクによる購買低減反応に正の影響を与える一方で、男性らしさと長期的志向は負の影響を与え、また権力差と個人主義は影響を与えないという結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論の構築とアンケート調査は計画通りに進んだ。ただし、研究協力者の都合により、調査対象国の準備が多少前後し、ドイツの代わりにボリビアでデータを収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に開始したアンケート調査を他国に広げ、膨大なデータを基に分析を行い、そして研究成果を報告する計画をしている。また、今後、消費者の製品が持つ放射能汚染リスクに対する消費者反応の原因及び文化的相違のみならず、企業や公共機関がとるべき最適な対策を導くことにも焦点を当てる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に研究資金を非常に効率的に使用したため、年度末に未使用の研究資金が残った。平成25年度に、この未使用額を含めた研究資金を、主にデータ収集の費用、研究協力者への謝金、そして研究成果の報告等に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)