2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24651182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
水本 巖 富山高等専門学校, 電子情報工学科, 教授 (40239257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小熊 博 富山高等専門学校, 電子情報工学科, 准教授 (40621909)
古山 彰一 富山高等専門学校, 電子情報工学科, 准教授 (90321421)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 環境モニタリング |
Research Abstract |
10kmから最大50km間の中距離データ伝送用システムとして、商用電源が使えるUHF430MHz帯のホスト機とサブホスト機のデーター伝送を確立した。この区間は誤り訂正機能をパケット伝送の中に採り入れて取得したデータの確実な受け渡しシステムを開発した。センサー端末から、サブホスト機(サブホスト拠点)までを結ぶ、約200m~400mまでの通信は2.4GHzのスペクトラム拡散データー通信を用いて確立した。本機の消費電力は数mAなので、太陽電池パネルなどの独立型電源と組み合わせて据え置き型電源独立型センサーノードとして使用できる。またノード間を繋げれば最大数kmはデーターの受け渡しが可能である。本機に、寄り回り波観測用超音波センサーを取り付けて、水際沿岸部から、商用電源が使用できるサブホストまでのデーター転送を可能にした。 水位センサーは、能登九十九湾内に設置して、直線にして約100km離れた研究実施場所で、風景も合わせて常時観測およびデーター受信・解析できる状態になっている。24年度は11月初旬に、他機関で観測された寄り回り波とされる周期10秒間を越える長周期の波を観測した。富山湾は能登半島の先端付近(珠洲、九十九湾付近)に最初の波頭が出現し、その後、富山の入善地区付近に向かう。引き続き、観測を継続中である。 また可搬型降雪センサーは、可視域シリコン系センサーが使用できない0.9~1.4μm帯の近赤外域発光ダイオードおよびInGaAsフォトダイオードを用いて、みぞれ観測可能な差分分光計測を利用した降雪センサーを開発試作した。波長900nmは水分の吸収が少なく、一方波長1400nm帯は水分の吸収が大きい。そこで雨、みぞれ、雪の気象状態により二波長での水分吸収率の違いから、天候状態を判別するに至った。位相敏感検出部の小型化が進めば可搬型センサーとしての活用が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、基本的な伝送機機の小型基板化まで行う予定であったが、現在、基本設計までは終わっている。試作において、波長安定度などスペックの再現性(歩留まり)に若干の問題があり、本格的な発注加工には至っていない。実験室レベルでの使用評価は、既に済んでおり、基本的には回路上、問題が無いことを確認している。ただし、実装で部品固定となると最適な物にしたいので、スプリアス放射の抑制など電波法に耐えられる機器の開発を目指している。 また、非接触の水位センサーはサブホストまでのデーター伝送は確立されている。降雪センサーもみぞれ状態まで観測できることから概ね、当初の予定通り研究は進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に製作した中距離データー伝送システムを活用して、富山湾の寄り回り波の観測および警報注意報発令システムの基礎システムを構築する。現在、リアルタイムでのデーター伝送であるが無線伝送であるため途中ノイズ混入等でデーターが途切れることが多い。そのため寄り回り波自体、地形上これまで多くの被害や人的犠牲をもたらしてきた富山湾入善地区に上がる前に、能登半島で寄り回り波の兆候が現れるので、まず能登半島での観測を確実に行う。その後入善地区到達までは時間があるので、入善地区の観測は、1秒毎のリアルタイム連続データー転送でなくても、例えば10分毎に溜め込んだデーターの一括送信でも十分間に合うと考察される。そのため、入善地区のデーター現地サブホスト局に有る程度データー蓄積したものをパケット伝送してデーターを取得する方式に変更する。 これらの得られたデーターを、波動方程式を用いて寄り回り波の物理的ダイナミクスの解析に着手する。シミュレーションと合わせて、実地観測とのデーターとをすり合わせることにより、シミュレーションの為に必要な正確なパラメーターの取得を目的とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)端末での電源独立型センサデータ収集伝送装置の開発を目指す。太陽光パネル、鉛蓄電池、電荷二重層キャパシタ、電源を確保し、Zigbeeなどの近距離通信網とサブホスト局を有機的に繋ぐシステムの設置[600,000] (2)データー転送の確実性を増すために、商用電源を用いることができるサブホスト局でのパソコンへ、データーを一時保管する。それを一定時間毎に、遠隔(無線)で送信要求をしてホスト局へ転送するシステムを完成させ、伝送データーの信頼性を高める。[400,000] (3)解析に着手する。特に富山湾の東側、湾奥部では卓越する波の周波数の違いに着目する。これらを基に富山湾固有波振動の存在を分析する。 (4)これらのデータおよび解析を基に、富山県、漁業組合などと関係機関と協議連携を模索する。 [施設利用料等 20,000] (5)冬季寄り回り波の実地観測 [180,000] (6)次年度使用額が生じた理由は、通信制御基板で用いる伝送誤り訂正機能がモジュール部品の使用に置き換えることができる見込みがたったこと、電源基板においては、太陽電池パネルを用いた独立電源型で製作できる見込みが立ったので、次年度の最終完成に合わせて未使用額が生じた。本年度はスプリアス放射を押さえ電波法に準拠した機器を完成させる。[297,051]
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