2012 Fiscal Year Research-status Report
水中係留浮体の構造挙動を積極活用した新しい発電・防災兼用システムの研究開発
Project/Area Number |
24651183
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 太裕 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00344482)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 防災 / 自然エネルギー |
Research Abstract |
現在世界を取り巻く地球環境の悪化、およびそれに伴う甚大な自然災害問題は、人類が取り組むべき喫緊の最重要課題の一つである。本研究は将来的な環境保全技術として、係留索を用いて水中に安定化させる水中係留浮体構造の「動揺しやすい」性質を積極活用することでエネルギーを得るとともに、波浪・災害から陸地を守るという二重の機能を有した革新的次世代洋上施設の技術成立性について多角的に検討することを本研究期間の目的としている。初年度である平成24年度は、国内外の海洋エネルギー、防災施設に関する調査を実施するとともに、構造力学的観点から以下の課題に取り組んだ。得られた知見を以下に示す。 (1)水中係留浮体構造解析モデルの検証:浮体部を質点系としてモデル化し、係留索のゆるみ(スラック状態)を考慮可能な解析モデルを構築した。 (2)上記解析モデルによる大波浪の作用による非線形動的挙動の時刻歴計算:上記の解析モデルを用い、波浪入射時の構造挙動の時刻歴解析を実施し、大波浪時のスラック状態と係留索の急激な張力回復に伴い生じる準衝撃的な力(スナップ荷重)の発生メカニズムを再現した。 (3)浮体を円筒シェルとした場合のモデル構築:構造挙動は係留索配置の状態とともに、浮体と浮体をジョイントする部分の剛性や浮体自身の弾性も大きく影響することから、これらに関するモデル化と、その基本的な構造特性について差分方程式を用いたモデルを構築し、検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構造モデルの構築と動的挙動の把握を行うことができ、当初予定していた初年度の計画をおおむね実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は国内外での海洋エネルギー施設の検証を深め、所定の機能を高める構造最適化の検討を実施する。さらに得られた成果を学術雑誌にて公表していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はこれまでに研究代表者が有する研究資源を有効に使いながら研究を実施することができたため、当初予定の費用の一部を次年度に繰り越すことができた。次年度は当初計画の予算に加え繰り越し分を解析に関わる諸費用と国内外での調査、研究発表などに使用する予定である。
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