2012 Fiscal Year Research-status Report
風力発電及び送電拠点の分散マイクログリッド構築の実現
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24651190
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前田 潤滋 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (40128088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友清 衣利子 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 助教 (30346829)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 風力エネルギー / マイクログリッド / 日平均風速 / 乱れの強さ / 広域高密度風観測 |
Research Abstract |
風力発電開発では、恒常的に高風速となる風力発電適地を策定し、ウィンドファームを構築するが、実際には風速の変動の大きさを見過ごすことによる風車の不安定な稼働などの問題が起きており、風の変動情報を含めた詳細な風観測情報の整備が必要である。本研究では、九州地区の送電鉄塔塔頂部に高密度配置された風観測システムでの観測記録をもとに、風向風速の平均値と変動情報に関するデータベースを整理して、風速変動に視点を置いた風力エネルギーマップの算定例を示すとともに、送電線網を利用した風力発電網によるマイクログリッド構築の実現性を検証する。今年度は以下の手順で研究を遂行した。 (1)九州電力(株)広域高密度風観測システム(NeWMeK)の1秒平均観測記録を精査したところ、システム整備等のために約5%の記録が欠測していることが分かったため、分析にはそれらを除いた有効観測記録を用いた。 (2)有効な観測値のみを用いて、10分間での日別、月別、年別平均風向風速値を整理したところ、台風が接近あるいは上陸した期間を除く研究対象期間での平均風速風向には大きな経年変化は見られず、年平均風速約3m/sの地点が多いが、年平均風速は沿岸に近い山地部で大きく、標高の高い九州内陸部ではそれほど大きくないことがわかった。 (3)10分間での風速変動情報を整理したところ、観測地点によって異なるものの、風の乱れは年平均で0.3~0.5の地域が多く、年平均風速値が大きい観測点では風の乱れが小さく、風軸上の風向出現率が高いことがわかった。また、九州の風軸上の風向出現率は約55%であった。 (4)NEDOの局所風況マップと比較検証したところ、年平均風速は局所風況マップの方がNeWMeKの観測に基づく値よりも大きく、ほぼ同位置でも風況が対応しない地点があることがわかった。 (5)上記の整理情報をもとに風力エネルギーマップの試作に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膨大な風記録情報の整理に想定より時間を要したため、着手した風力エネルギーマップの試作は未完成であるが、NeWMeKデータに基づく風情報データベースの蓄積を進め、風速変動を考慮した風力エネルギーを見積もるための基礎資料を十分にそろえることができた。 また、風気象庁の風観測記録に基づくNEDOの風況マップとの比較を行い、データの整合性や相違点などを整理することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は昨年度に整理したデータベースに新たな情報を蓄積するとともに、風の乱れを考慮した風力エネルギーマップを試作し、NEDOのエネルギーマップなどと比較して、その妥当性を検証する。また、研究成果をとりまとめて風力発電によるマイクログリッド構築実現の可能性を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度の研究費使用計画は以下の通りである。 ・気象庁での観測値やNEDOの風況マップとの比較および整合性の検証を行うため、市販の数値流体ソフトを購入する。 ・新たに蓄積された観測情報をデータベースに統合するため、市販されている気象観測資料を購入する。 ・膨大な記録を処理するため、プログラム関連書籍およびパソコン関連書籍を購入する。 ・研究成果をとりまとめ、報告を行うため、研究会等への参加費および旅費等を支出する。
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