2013 Fiscal Year Annual Research Report
大規模災害への復元力のある新たなグローバル社会システムの再構築
Project/Area Number |
24651193
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
早田 宰 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (80264597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土方 正夫 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (60156594)
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Keywords | 復元力 / スローシティ / 田野畑村 / 気仙沼市 / パナーキー / レジリエンス |
Research Abstract |
東日本大震災後、岩手県田野畑村、宮城県気仙沼市において復元力の経過観察と分析をおこなった。 岩手県田野畑村は地方の沿岸沿いの漁港があり、比較的早いペースで復興が進んでいる。津波防災の安全を重視し、防潮堤の計画は行政主導で計画案を作成し、住民に提示し理解を得る方式を採用した。創造的な復興については、住民の集会機能を強化する、観光誘致を同時並行する内発的なプロセスを徹底させた。グローバルな影響としては、三陸鉄道の復興においてクウェートからの寄付、海外大学の訪問などがあった。復興が進んだ3年目の冬より創造的復興について村民有志で話し合いがもたれ、プラットホームの形成による情報共有・発信がおこなわれるようになった。 宮城県気仙沼市は比較的復興がやや遅いペースで進んでいる。国際的な港町であり、グローバル性、市場圧力が強い。震災後は、早くに海外向けの英語版公式facebookを立ち上げた。仏によるカキ養殖具の提供、ノルウェーへの水産業視察、スペインや韓国との文化交流、英の調査団とのセミナー等がおこなわれてきた。このようなグローバル社会システムを地域が主体となって動かしていくことで、地域産業が元気を取り戻していった。新しい社会資源の結合が進んでいる。一方、防潮堤などの都市計画、市民の自治、まちづくりの合意形成のしくみ等は過渡期である。また地域では着実にまちづくりの計画策定に主体的にとりくむ地区もあり、活動が継続している。海外のスローシティとの比較をおこなった。 これらの分析から、地域の担い手主体の掘り起し、コミュニティの形成、ビジョン構築、まちづくり活動、新たなシンボル、規範構築の6つの要素の活動ダイヤグラムから復元力の循環を計る必要があることを整理した。
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