2013 Fiscal Year Research-status Report
積雪寒冷地の相変化依存型土砂災害発生機構の現象論的数理モデル化手法の開発
Project/Area Number |
24651204
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 達也 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60359479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 一郎 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60225026)
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Keywords | 土砂災害 / 地盤工学 / 水工水理学 / 防災 / 積雪寒冷地 |
Research Abstract |
1.凍結融解地盤の浸透侵食・崩壊現象の影響因子の検討 (1)昨年度開発した凍結融解型二次元浸透侵食模型実験装置に模型地盤内の一部を凍結融解する機構(凍結管)を加え、アイスレンズが局所的に存在したあるいは存在する模型地盤に浸透流を与えることができるように改良した。(2)改良した試験装置を用いて、砂質土模型地盤の凍結融解流水浸透侵食実験を実施し、室内試験から得られた透水係数との比較により、試験装置の有用性や試験結果の妥当性・信頼性を確認した。(3)凍結融解地盤の浸透侵食挙動に及ぼす水流の影響を評価するために、浸透流がある場合とない場合について、凍結前・凍結時・融解時に流水圧を変えながら流水浸透侵食実験を実施した。その結果、凍結中に流水がある場合は、地盤の凍結が流水のない場合に比べ遅延するとともに、未凍結部の浸透流速が地盤の凍結により増大する傾向にあることを確認した。 2.凍結融解地盤の浸透侵食・崩壊現象の数理モデル化方針の検討 凍結融解地盤の特性を再現するため、個別要素法(DEM)及び粒子法(SPH、MPS)に基づくモデル化を実施し、モデルの予測精度、計算機負荷を検証した。まず、粒子法については、流体現象(水柱崩壊、ダムブレーク)と斜面上の土砂の運動について、両手法を比較した。この結果、SPHは設定パラメータが複数存在することがネックではあるが、MPSに比べて安定に動作しかつ計算機負荷が小さいことが確認された。ただし、土/水相互作用の良好な再現には至らなかった。一方、DEMについては、ラグランジュ・オイラーカップリングのコンセプトにより、土と流体との相互作用項を考慮してモデル化し、土砂と水との界面の現象を適切に再現できるモデルを構築した。種々の検討の結果、このモデルは、粒子法に比べて計算機負荷が大きいものの、凍結融解現象を含む幅広い土砂・流体連成問題に適用可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究の遅れを取り戻し、交付申請時に記載した本年度の研究実施計画のすべての項目について検討を実施しており、本実績報告書で記載したように、各項目について、交付申請時に記載した研究目的の達成に結びつくような具体的な研究成果があがっていることから、「おおむね順調に進展している。」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、研究開発の効率性の観点から各研究者が個別に保有する研究開発力を総合して課題解決にあたっているが、研究目標達成には、実験・解析の両面から連携した検討を行う必要がある。このため、研究者間あるいは研究項目間の連携性の向上と研究内容の調整のため、情報交換と研究成果の共有などを目的とした研究の進捗状況報告会を、今年度同様、今後も四半期に1回程度開催しながら、本研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
交付申請時に記載した平成25年度の研究実施計画のうち、試験装置の改良について一部の発注が遅れ、納品が平成26年度に持ち越しとなったことから、実験的検討に必要な研究費が平成26年度に繰り越しとなった。 当該研究費については、平成26年度の早い時期に使用する計画である。
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Research Products
(5 results)