2012 Fiscal Year Research-status Report
上空の強風層の降下による地上での災害の発生とその予測に関する研究
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24651208
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀口 光章 京都大学, 防災研究所, 助教 (60190253)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 強風災害 / 運動量輸送 / 大気境界層 / 乱流構造 |
Research Abstract |
観測,データ解析などにより地上での強風をもたらす気象条件とその機構を調べ,地上での強風の予測手法の検討を行うことを目的とし,平成24年度は京都大学防災研究所宇治川オープンラボラトリー(京都市郊外)にある観測鉄塔の2高度(25mと40m)に設置されている超音波風速計と,同じく鉄塔に設置されている気象観測機器により,大気境界層における風と運動量輸送についての集中的な観測を行った。観測は,冬季から春季にかけての2012年12月から2013年3月にかけての期間に行った。 風が比較的強く,接地層での安定度が中立に近い状態での観測例(一つの観測例は長さ3時間30分)の解析から,平均流方向風速成分uの時間変化を調べると,100~200秒程度の時間スケールを持った比較的大きな規模の風速変動が見られる場合がある。またそのような変動は上下の観測点間で良く対応しており,鉛直方向にも大きな拡がりを持っていることが分かる。なお,各高度の下向き運動量輸送量を調べると,多少の違いが見られる。この場所で観測された大きな規模の風速変動は,従来の研究により明らかにされてきた大きな規模の下降する強風の乱流構造に対応するものと考えられる。しかし,このような大きな時間スケールを持った風速変動があまり顕著ではない観測例も解析された。 今後,この期間の観測については,安定度が異なる場合の観測例についても解析し,また,他の気象データも合わせて検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度には集中的な観測を実施することができ,解析可能な観測例を多く得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,平成24年度に行った観測結果のデータ解析に加えて,さらに新たな観測と解析を行う。具体的には,地上200mまでの風速3成分の変動を1秒ごとに測定できるドップラーライダシステムを京都大学防災研究所宇治川オープンラボラトリーに設置して,従来の超音波風速計と合わせて,地上から大気境界層にかけての風と運動量輸送について集中的な観測を行う。また,他の気象データの解析も実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ドップラーライダシステムのレンタル費用は高価であり,平成24年度の研究費を一部残し,平成25年度の研究費と合わせて使用することとした。
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