2013 Fiscal Year Research-status Report
核酸修飾酵素を用いた新規原理によるRNA結合タンパク質ターゲットの網羅的同定
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24651215
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
熊谷 雄太郎 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教 (00528408)
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Keywords | RNA結合タンパク質 |
Research Abstract |
本研究は核酸修飾酵素を用い、それとRNA結合タンパク質の融合タンパク質を作製、発現させることにより、RNA結合タンパク質のターゲットを網羅的に同定することを目指したものである。 本年度は前年度までのスクリーニングを踏まえ、いくつかのRNA修飾酵素にターゲットを絞り酵素と反応条件の最適化を企図した。まず、RNA修飾酵素とTTP/Zfp36融合タンパク質の発現系を構築し、それをHEK293細胞に導入し、TNF由来3’UTRを結合したluciferase遺伝子のmRNAにおけるシトシンメチル化をbisulfite法で確認した。MS2 capsid protein融合RNA修飾酵素によるMS2 stem loopを持つmRNAに対する修飾効率に比べて大きく劣るものの、修飾は見られた。次に、この融合タンパク質をマウス胚性線維芽細胞(MEF)に導入し、endogenous mRNAの修飾を確認することを試みたが、修飾が見られなかった。MS2システムを用いたpositive control実験においても修飾が見られなかったことから、Western blottingによって発現の確認を行ったところ、修飾酵素自体が発現していなかった。luciferase遺伝子または内部コントロールとして用いた遺伝子についてはタンパク質の発現が見られたことから、RNA修飾酵素の発現がMEFでは起こらないことが示唆された。現在、遺伝子導入方法の検討とコドン最適化などを試みている。 次世代シーケンサを用いた網羅的同定には、修飾を受けたRNAを識別するアルゴリズムが必要となる。前年度に引き続きCLIP-seqなどに使われているアルゴリズムを検討し、人工的に作製したデータ群を用いて、その応用を試みた。現在のところ低速ながらも修飾をうけたRNAを選択するプログラムを構築することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
使用する酵素およびbisulfite反応条件の最適化を行うコントロール実験系の確立、bisulfite反応の最適化、および使用する酵素の選別に成功した。また、過剰発現系においては低効率ながらも融合タンパク質によるターゲットmRNAの修飾を観測することができた。しかしながら、ターゲットとする細胞株において融合酵素の発現系を構築することに未だ成功しておらず、大規模な実験を行うのは尚早である段階に留まっている。 一方、プログラム開発はほぼ終了しており、次世代シーケンサによる大規模データを処理する基盤は整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
コントロール実験系を用い、遺伝子導入法の最適化、コドン最適化などにより、ターゲットとするMEF,やマクロファージ細胞株等での発現系を確立し、確立後早急に、HuR, Zfp36, Regnase-1などのRNA結合タンパク質との融合タンパク質発現系を構築し、全RNAを調製後、次世代シーケンサを用いてbisulfite sequencingを行い、修飾されているRNA、すなわちRNA結合タンパク質のターゲットと、修飾されていないRNAとを区別し、ターゲットを同定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画では本年度までに、RNA修飾酵素で計画に使用可能なものを同定し、数種類のタンパク質との融合タンパク質を作製、マクロファージ細胞などで発現させ、RNA-seqに供する予定であったが、RNA修飾酵素の最適条件の検討に時間がかかったために次世代シーケンサ試薬に使用する予定の費用に未使用が発生した。 次世代シーケンサを行うためのライブラリ調製用試薬や逆転写酵素、抗体などに関しては購入済みであるため、細胞培養、RNA抽出、RNAのメチル化、および次世代シーケンサ用のシーケンシング試薬の購入に未使用分を当てることを予定している。
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