2012 Fiscal Year Research-status Report
トランスログ:配列相同性が高くない遺伝子の機能推定手法開発
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24651227
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
瀬々 潤 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (40361539)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ネットワーク / 比較ゲノム / バイオインフォマティクス |
Research Abstract |
本研究では,遺伝子機能を推定するために,配列情報ではなくネットワークの相同性を基準に,機能推定を試みている.ネットワークの比較方法として,当研究室で開発したネットワーク比較技術であるANGIE を発展させ,異種間のネットワークを比較することで,遺伝子機能の推定手法の構築を行なっている.本年は,ANGIEを直接種間比較に適用することで,機能比較がどこまで可能であるかを確認した.ショウジョウバエの近縁 6 種から得られたマイク ロアレイデータ[Kalinka et al. Nature 2010]に適用した. 非常に分岐年代が 近い近縁種である D. melanogaster と D. simulans を比較した場合,互いのネ ットワークが非常によく似ていて,保存性が高いことが示唆され,同時に,遺伝子機能も良く似ている事が分かる結果となった.更に,利用したデータ の中では 分岐年代が離れている D. melanogaster と D. virillis を比較したとこ ろ,特に成長因子関連のネットワークが大きく分断され,異 なる様子が示唆さ れた.ネットワーク上で分断されているにもかかわらず,既知の機能を調べると比較的似ているものが多かった.これは,発生速度の違いに由来する発現変化によるものであると考えられ,ネットワークを用いた機能推定に至るには,アルゴリズムの改良だけでなく,ネットワークを作成するデータにも十分注意する必要が有ることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の計画は,アルゴリズムの開発及びデータを収集して開発したアルゴリズムを適用することであった.本年度,この内容を達成し,更に,種間比較結果の考察まで入ることができたので,予定以上の進展が得られている.その一方で,現在得られている比較結果は,実際の機能推定を行うことが困難である様子も見えてきており,パラメータのチューニング,アルゴリズムの改良と共に,アルゴリズムの変更と実データ解析を行うことによる問題点をよりクリアにする必要がでてきている.以上の理由により「概ね順調に進展している」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,平成24年度に開発した手法を,より多くの実データに適用してトランスログの発見を行う.更に,既 知のホモログとの比較を行う.この比較により,多くのホモログがトランスログでもある可能性が高く,既存知識と合っている事の確認を行う. 同時に既存ホモログと大きく異なるトランスログを調べ,その機能,タンパク質ドメイン構造,制御領域の調査を行う. また,上記の研究において,必要なパラメータチューニング,アルゴリズムの改訂は適宜進めていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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