2013 Fiscal Year Research-status Report
微生物の代謝活性と局在性を同時検出するマイクロイメージング技術の開発
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24651232
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下山 武文 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10534878)
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Keywords | 応用微生物 / がん / アセトアルデヒド / 腸内細菌 |
Research Abstract |
研究開始当初の目標として,アルコール依存症と健常者の腸内細菌叢の違いを明らかにすることを掲げた.24年度は久里浜アルコール症センターから,アルコール依存症患者の糞便の提供を受け,はじめにアルコールおよびアセトアルデヒドの代謝能を調査した.また腸内細菌叢の比較のための予備データを得た.25年度は腸内細菌叢をより詳しく明らかにするため,久里浜医療センターから提供を受けたアルコール依存症患者のポリープについて,腸内細菌のDNAを抽出後,次世代シークエンス解析することで,微生物叢の解析を試みた.以前の研究で,患者の糞便の微生物叢解析は行っていたが,今回はポリープ表面という,より病態に近く,変異誘発に関与していると思われる微生物群の推定に成功した.この結果から,これらのポリープ表層に局在する微生物をin situで解析するため,ポリープを用いたfluorescence in situ hybridizasion (FISH)解析を試みた.アセトアルデヒド代謝に特に重要に係わっていると考えられる4種の微生物種について,それらのリボソーム小サブユニットRNAに特異的に結合する蛍光プローブを設計し,ポリープ表面での微生物の局在性を調査した.その結果,特定の微生物群がポリープ表面に局所的に存在していることが確認できた.この微生物密集地帯では,高濃度のアセトアルデヒドの生成が起こっていると考えられる.今年度は,微生物の活性を保ったまま,ポリープ表面でのアセトアルデヒド生成をリアルタイムで検出することを主眼とする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り,アルコール依存症患者と健常者について,糞便中の微生物叢の違いを明らかにし,糞便中に含まれる腸内細菌のアセトアルデヒド代謝能を明らかにした.また次世代シークエンス解析することで,アセトアルデヒド代謝に関与すると思われる微生物群を特定できた.FISHで局在性も明らかにできたことから,今後行うin situでのアセトアルデヒドの代謝解析の調査対象とする微生物群の絞り込みを終えている.このため,予定通りイメージング技術の検討を行える見通しである.
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Strategy for Future Research Activity |
アルコール依存症患者の糞便とポリープ表面に接着する微生物群を比較したことで,アセトアルデヒド代謝に大きく寄与するであろう微生物の特定に成功した.これは重要な知見であり,今後はサンプル数を増やして,普遍性を調査する必要がある.そのため,ポリープ表面の微生物叢解析を次世代シークエンス技術を用いて引き続き行う.さらに,ポリープ表面のアセトアルデヒド代謝能の検出を行う.これにはFISHで局所的に微生物が存在していると確認されたサンプルを用いる.進捗状況次第では,アセトアルデヒドによってDNAに付加体が生じるなどの変異原性の原因となる変化が起きていないか,ヒトDNAの変異も調査したい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き次世代シークエンスを外注するため,25年度にできなかった計画を26年度に行うため. アルコール依存症患者のポリープ表面次世代シークエンス解析を行う. これについては,26年度の解析と合わせて外注する予定である.
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