2014 Fiscal Year Annual Research Report
微生物の代謝活性と局在性を同時検出するマイクロイメージング技術の開発
Project/Area Number |
24651232
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下山 武文 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10534878)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 応用微生物 / がん / アセトアルデヒド / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究は,習慣的多量飲酒によって大腸がんが誘発されることがわかっている.既知の事実として,エタノールが体内で代謝されて生成するアセトアルデヒド(AcH)には発がん性があることが明らかになっている.我々のグループでは,ヒトが肝臓で生成するAcH以外にも,腸内細菌が大腸内で生成するAcHはヒト大腸発がんに無視できない影響をもたらしていると考えている.そこで本研究では,腸内細菌が実際にヒト大腸内でアセトアルデヒドを生成しているのか調べ,生成量に依存した識別方法で可視化することを最終目標に掲げた. はじめに,実際に腸内細菌の作用によって大腸内でAcHが生成していることを確認するため,アルコール症患者の糞便を使用し,エタノールからのAcH生成を確認した.また,糞便から腸内細菌をさまざまな選択培地を用いて分離し,分離できた微生物株についてAcH代謝能を調査した.その結果,AcHを特異的に生成・蓄積する微生物株が特定でき,それらの株が分類される属が推定できた.ただこの属に関しても,属・種まで同一と推定されるにもかかわらず代謝能が全く異なる株が共存することがわかり,一概に危険・安全な属と定義することは困難であることがわかった.しかし大まかに分類すると,今まで大腸がんとは一緒に議論されてこなかった特定の属が重要な役割を担っていることが推定できた 次にこれらの属を可視化するため,fluorescence in situ hybridizationによって対象微生物を蛍光染色し,顕微鏡観察した.アルコール症患者から摘出された腺腫を観察したが,焦点深度の厚さとヘモグロビンの自家蛍光の問題で観察が困難であった.この問題を解決するため,デジタルマイクロスコープとCy7蛍光色素を用いたところ,対象微生物が腺腫表面に高密度に局在している様子が観察できた.
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