2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24651241
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安部 聡 東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (40508595)
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Keywords | 蛋白質結晶 / 細胞内結晶 / 多角体 / 昆虫ウィルス / 蛋白質結晶工学 |
Research Abstract |
多角体病ウィルスが感染した細胞内で産生される多角体タンパク質は、同時に産生されるウィルス粒子を内包しながら細胞内で結晶化し、ウィルスの長期保存を可能とする。そこで、ウィルスの取り込み機構を解明することによって、ウィルス以外のタンパク質や化合物を内包する新しいタンパク質結晶材料の創成を目指し、細胞内結晶機構の解明を試みた。 本年度は、細胞質多角体病ウィルスに感染した蚕の中腸細胞の電子顕微鏡(TEM)観察と細胞外での多角体タンパク質の集積を動的光散乱(DLS)や原子間力顕微鏡(AFM)により追跡した。中腸細胞のTEM観察では、ウィルス粒子が内包される様子を観察でき、ウィルス粒子は、多角体に内包される直前まで集積構造を形成していることがわかった。また、多角体タンパク質が特異な集積構造を経て結晶化することを明らかとした。 次に、in vitroでの結晶化機構を検討するため、多角体結晶を一度溶解した多角体タンパク質の集積化をDLSで観察した。中性pHや100mM KClなどの低濃度の無機塩の添加により集積が促進されることを明らかとした。さらに、その集積構造をAFMにより観察したところ、KClの有無により集積構造が異なることがわかり、100mMKCl条件下で多角体タンパク質が特異な配列構造を形成することがわかった。これらは、細胞内のpHやカルシウム濃度とよい一致を示しており、細胞内の特異な環境下が多角体の集積に密接にかかわっていることを示唆している。
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Research Products
(7 results)