2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24651246
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中尾 洋一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60282696)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 信忠 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (30344162)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 共生 / 海洋天然化合物 / 海綿 / 生合成 / シグナル / メタゲノム |
Research Abstract |
海綿に含まれる海洋天然化合物の多くは、共生微生物によって生合成され何らかのシグナル分子として機能していると考えられるものも多い。これらのシグナル分子は、二次代謝産物の生合成を制御して、海綿と共生微生物のように種特異的共生関係を成立させている可能性が考えられる。そこで、シグナル分子を産生する微生物の特定と同定、二次代謝産物の生合成遺伝子の特定、および共生微生物系の中でのこれらの生合成遺伝子の発現調整機構の解明が、海洋無脊椎動物における共生微生物系の理解に必要不可欠であると考えた。 本研究では、具体的な研究項目として、①宿主海綿からマーカーとなる二次代謝産物の産生微生物の分離・同定、②分離した共生微生物のメタゲノム解析および生合成遺伝子の同定、③単離した共生微生物の二次代謝に作用するシグナル分子の同定の3項目について明らかにすることを目的とした。 宿主海綿としてDiscodermia calyxを選び、主要な二次代謝産物であるcalyculinをマーカーとして、この化合物を産生する共生微生物の分離・同定を試みた。海綿を海水中で破砕後、各ポアサイズのメッシュを通して共生微生物をサイズごとに分画した。calyculinを含む微生物はΦ8 umのメッシュを通る画分に濃縮されたため、この微生物濃縮画分からゲノムDNAを抽出してメタゲノムシーケンス解析を行った。この結果、本画分に含まれる主要な微生物としてPseudomonas属のバクテリアであることが明らかになった。一方、calyculinの生合成酵素の候補と考えられるポリケチド合成酵素の遺伝子群について13個のコンティグが確認できた。さらに、明らかになった主要な微生物Pseudomonas属のバクテリアの公表されているゲノム配列に対して、得られたDNAライブラリーをマッピングしたところ、全ゲノムの94%をカバーすることができた。
|