2013 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析による臓器デザインの分子機構の解明
Project/Area Number |
24651252
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
鎌田 春彦 独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部, 研究員 (00324509)
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Keywords | プロテオミクス |
Research Abstract |
臓器は多種類の細胞から構成される三次元構造を持った複雑な構造体であり、各細胞が有機的に相互作用することで高次機能を発揮している。しかし、どのような機構でその構造を保ちながら機能を発揮しているのかに関して、詳細なメカニズムは未だ不明な部分が多い。そこで本研究では、高次組織構造を持つ臓器の構築を司る分子を同定・機能解析することを目的に、組織由来のスフェロイド(CTOS)に対してプロテオミクス等の網羅的解析を実施した。 平成24年度ではまず、手術摘出組織を機械的・化学的に処理した組織細胞塊(CTOS)を作製し、スフェロイド培養から平面培養へと展開した。組織由来の単分散した細胞は、組織由来の細胞の中でも、間質細胞が多く存在し、培地シャーレに比較的多数接着するために、組織由来の実質細胞の回収が困難であることが明らかになった。そこで、上記CTOSを一旦作製した後、培地の組成を幹細胞培地から一般的な10%FCS DMEM培地に置換することで、効率よく平面培養に展開することが可能であることを見出した。また、平面培養には培養用に表面コーティングされたディッシュでの培養が効率良く、平面培養に利用できることが明らかになった。 平成25年度では、このCTOS に発現するタンパク質と平面培養された細胞にそれぞれ発現する膜タンパク質を濃縮し、抽出したタンパク質の定性・定量的なプロテオーム解析を実施した。今回の検討では、3種類の肺がん由来CTOSを用いて比較解析し、各CTOSからは800から950程度のタンパク質が同定され、そのうち約6割程度のタンパク質が、スフェロイド培養と平面培養との間で、共通して発現していることが明らかになった。特にスフェロイド培養では発現せず、接着CTOSでのみ発現が確認されたタンパク質を5種類見出す事ができた。これらのタンパク質は、その発現が増加することで、スフェロイド状態から平面状態へと移行するものと示唆された。
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