2012 Fiscal Year Research-status Report
活性酸素種の生体内イメージングを指向した新規セレンテラジン類縁体の創製
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24651257
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
細谷 孝充 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (60273124)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ケミカルバイオロジー / 有機化学 / 分子プローブ / 生物発光 |
Research Abstract |
様々な生命現象の発現・制御に重要な役割を果たしていると考えられる活性酸素種の生体内局在を観察する手法が強く求められており、その開発研究が近年活発に行われている。しかし、微量かつ短寿命の活性酸素種を生体内で高感度に、しかも定量的かつリアルタイムで検出するのは未だに容易ではない。本研究では、生物発光基質であるセレンテラジン(CTZ)を新たに構造改変することで、新しい活性酸素種検出系の開発を目指す。具体的には、活性酸素種検出には含ホウ素CTZ類縁体の合成を目指し、その検討を行った。その結果、含ホウ素化合物の変換や精製において、熟練した技術が必要となることが明らかになった。加えて、含窒素芳香環化合物への置換基導入においても現状の問題点を解決できる手法の開発が必要であることに直面した。そこで、含ホウ素化合物の取扱いの習熟に加え、含窒素芳香環化合物への置換基導入法への展開を念頭に、複雑な置換形式の芳香族化合物の合成手法の開発を行い、そのための新しい手法を見いだすことができた。加えて、活性酸素種を捕捉する基質の設計を念頭に、生物発光における発光特性と基質の構造の相関に関して詳しく調べたところ、セレンテラジン類縁体と各種ルシフェラーゼにおける新しい発光相関に関する知見を得ることができた。加えて、グローな発光を引き起こす基質を利用し、低分子量のルシフェラーゼを利用する生物発光系に関する新しい知見を得ることもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活性酸素種の捕捉・定量を可能にする生物発光系の開発を目指し、ホウ素置換基を有する基質の合成を試みたところ、現状の問題点を明らかにすることができた。そこで、その問題点を解決しようと含ホウ素化合物を用いる多置換芳香族化合物の変換へと研究を展開したところ、期待以上の成果を得ることができた。加えて、生物発光における発光特性に関して精査したところ、幸運にも新しい知見を得ることもできた。さらに、この知見をもとに、タンパク質タグとして有用と期待される、低分子量のルシフェラーゼを利用した新たな生物発光系の開発も進めることができ、活性酸素種を捕捉する基質開発においても重要な結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた成果をもとに、活性酸素種の捕捉に有用な生物発光基質の開発を目指す。さらに、本研究を進める中で得られた新しい知見に関しても、さらに詳しく調べる。具体的には、例えば、低分子量のルシフェラーゼを利用した新しい生物発光系は、生命科学研究手法として極めて有用であると期待されるため、最適な生物発光基質を開発することで、さまざまなアッセイ系で高い定量性を示すと期待される生物発光系の開発にも展開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予想を上回る発展を遂げている本研究の遂行のため、研究の進行状況に合わせて時期を定め、スターラー付き低温恒温槽の他、各種試薬や精製資材、ガラス器具などを購入する。
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Research Products
(5 results)