2012 Fiscal Year Research-status Report
機能性抗菌ペプチドに基づく多様な酵素活性の検出とセラノスティクスへの応用
Project/Area Number |
24651259
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水上 進 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30420433)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | リポソーム / 抗菌ペプチド / 酵素活性 / セラノスティクス |
Research Abstract |
抗菌ペプチドは、細菌の細胞膜を破壊することで高い抗菌活性を示すことから、新たな創薬ターゲットとして注目されている。様々な抗菌ペプチドの抗菌作用機構が研究されているが、申請者らは13アミノ酸と非常に短いペプチドtemporin L(TL)に着目してきた。これまでに、TLのLysのε-アミノ基およびをN末端のα-アミノ基を光感受性保護基で修飾したTL誘導体において細菌膜傷害活性が大きく抑制されることを見出しており、この機能性ペプチドを細菌膜組成リポソームと組み合わせた「光応答性薬物放出システム」を開発してきた。本課題ではこのシステムを応用した「多様な酵素活性を蛍光検出するシステム」の開発を目的として研究を行っている。本年度は、TLにプロテアーゼの基質となるペプチドを連結し多機能性ペプチドを設計・合成し、プロテアーゼ活性に応答して、蛍光色素をリポソームから放出するシステムの開発を行った。標的酵素としてCaspase-3を選択し、TLのLysのε-アミノ基にCaspase-3の基質であるAc-DEVDの配列を導入した分岐型ペプチドを合成したところ、膜傷害活性が抑制されていた。ここにCaspase-3を添加したところ、酵素反応の進行に伴って膜傷害活性が回復することが確認された。これをリポソームと組み合わせることで、Caspase-3活性の蛍光検出に応用できることを示した。また、その他の応用としては、脱リン酸化酵素の基質となるようにリン酸化アミノ酸で置換した機能性ペプチドを複数合成し、リン酸基の修飾による膜傷害能変化を検討した。その結果、複数のアミノ酸残基においてリン酸化アミノ酸への置換がTLの膜傷害能を著しく低下させることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的であった、プロテアーゼ活性の検出を達成したため。また、ペプチドとリポソームの一体化については次年度の課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の研究を順次行う。 ①合成した各リン酸化TLの複数の脱リン酸化酵素に対する反応性・選択性を検討し、酵素アッセイシステムに繋げる。 ②機能性のTL誘導体をリポソームに連結することにより、刺激(酵素活性など)応答性のペプチド修飾リポソームを開発する。 ③生体内の患部において薬物放出と蛍光検出を同時に達成するようなセラノスティックシステム開発へと展開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
様々な脱リン酸化酵素活性へのリン酸化TLの応答性・選択性の検討については平成25年度の課題とした。その為、平成24年度の研究費の一部を次年度における酵素の購入費用およびそれに伴う実験物品費として繰り越した。
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