2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト抗菌性ペプチドの機能発現に対する病原細菌分泌アウターメンブランベシクルの関与
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24651263
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
和田 昭裕 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (70253698)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ディフェンシン / 抗菌性ペプチド / アウターメンブランベシクル / OMV |
Research Abstract |
生体内にてグラム陰性細菌の外膜がバディングして、アウターメンブランベシクル(OMV)が分泌することが知られている。外膜構成物のみならず病原因子も含まれるOMVは、ヒト抗菌性ペプチドが病原細菌を攻撃するときのトラップとして働き、OMVは病原細菌の抗菌性ペプチドからの防御および耐性に関わるのではないかと考えた。 ヒト抗菌性ペプチドが病原細菌に作用するときのOMVの役割を調べるために、OMVを多く分泌する遺伝子欠損大腸菌株を調べた結果、nlpIの遺伝子欠損大腸菌株がOMVを良く分泌しており、透過型電子顕微鏡にてOMVが観察された。このnlpI遺伝子欠損大腸菌株からOMVを分取および調製した。 ヒト抗菌性ペプチドであるhuman β-defensin-2(hBD-2)による大腸菌への抗菌活性はラジアルディフュージョンアッセイ法により確認され、このアッセイ系にOMVを添加した結果、OMVの濃度依存的に大腸菌への抗菌活性の阻害が認められた。こうしたOMVによる大腸菌へのhBD-2の抗菌活性の阻害作用は、OMVがhBD-2と直接相互作用をおこない。OMVがhBD-2のトラップとして作用してるのかどうか調べるために、蛍光標識hBD-2とOMVの相互作用を蛍光相関分光法にて調べた結果、hBD-2とOMVは直接相互作用をおこなってることが認められた。以上の結果は、ヒト抗菌性ペプチドの病原細菌への抗菌作用に対してOMVが防御的に働くことがわかった。
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Research Products
(2 results)