2013 Fiscal Year Annual Research Report
台湾離島に来襲した大津波の検証と低レベル放射線の生態系への影響
Project/Area Number |
24651277
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
中生 勝美 桜美林大学, 人文学系, 教授 (00222159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 修一郎 桜美林大学, 自然科学系, 教授 (20230964)
中村 衛 琉球大学, 理学部, 准教授 (60295293)
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Keywords | 極大波浪の遡上範囲 / 環境放射線 / 健康調査 / アンケート / 核廃棄物貯蔵 / 放射性物質の外漏れ |
Research Abstract |
研究代表者は、台湾台東県蘭嶼郷で1992年から調査を継続している。この島には少数民族のタウ族約3000人が居住しており、伝統文化の変容について研究を続けてきた。一方で、この島には核廃棄物貯蔵が建設され、1982年から主として原子力発電所で排出された低レベル放射性廃棄物をドラム缶10万本につめて保管している。2007年から2011年まで、海水で腐食し破損したドラム缶の入れ替えをおこなったが、その作業で外に漏れ出たコバルト60とセシウム137がコケから検出されたことが2011年末に報道され、島では住民の反対運動が激化してた。これらの社会背景を踏まえ、津波の基礎調査、環境放射線の測定、健康調査を実施した。その成果は次の通り。 ①従来の明和の津波研究では、基本的に日本への影響として、石垣島と宮古島を中心とする研究であったが、同心円を描いて津波が発生するにもかかわらず、震源地から南へ到達したことを前提とした研究はなかった。津波研究班は、約50年に1度の極大波浪(海岸から100m以上陸側まで到達する規模の波浪)によって、島全域の海岸に分布する巨礫が移動していることを明らかにした。また数値シミュレーションを用いて極大波浪の遡上範囲を再現計算する方法を確立し、波浪で移動する岩塊と津波でのみ動く岩塊とを見分ける手法を確立した。 ②環境放射線の測定で、3か所の線量が高い場所を発見したが、最終的にゴミ収集所の線量が不自然に高いことを確認した。環境放射線は、測定機による現地測定が中心であったので、次の段階は、土壌のサンプル調査の必要があることを確認できた。 ③現地でのアンケート調査は、実験材料に見られるという反感が強く、我々の調査が初めてであった。小学校の児童の保護者を対象に、50名の健康アンケートを実施できた。その分析によると、カルシウムの摂取量が少なく、女性に骨粗鬆症が多いと判明した。
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