2013 Fiscal Year Research-status Report
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24652023
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
吉田 朋子 京都ノートルダム女子大学, 人間文化学部, 講師 (80609082)
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Keywords | 美術品輸送 / ナポレオン / フランス・アカデミー / 美術品梱包 |
Research Abstract |
主たる研究内容と発表実績は以下のとおりである。 (1)前年度に続いて、インターネット・国内所蔵資料を利用して文献調査を行った。ローマのフランス・アカデミーとパリとの間の美術品輸送について、膨大な書簡の読解をさらに進めた結果、細かな情報が拾えることがわかった。例えば、繰り返し美術品を運ぶための特殊な容器が準備されていた可能性が高いことや、作品によって経路が変更された事例があることなどである。(2)海外(フランス国立美術史研究所、フランス国立図書館、カルナヴァレ博物館)にて、文書資料を中心に調査を行った。大画商ル・ブランの活動に関する博士論文や、革命期・ナポレオン支配期に美術品の移動に関連して出された法令や通信文等を中心に、資料を閲覧・収集した。また、美術品に限らず、輸送・交通全般についても資料を収集した。あわせて、17~18世紀の北方・フランスにおける絵画・素描などの視覚資料を調査し、前年度からの作業の継続として、美術品輸送に関する作品リストの作成を行った。(3)学内の研究会「人間文化学科 文化の航跡研究科」にて、「美術品はいかに運ばれたか 18~19世紀のフランスの事例を中心に」というタイトルで、一般向けに本研究の背景・成果の一部を発表した。現在行われている展覧会での輸送の実際の様子はあまり知られておらず、また、近代以前のヨーロッパにおける輸送については、専門書も一般向けの書物もないので、本研究の意義と重要性をアピールする貴重な機会となった。 以上のような活動を通じて、近代以前の輸送については、断片的な情報しか残っていない状況ではあるが、それらを集積することによって、おぼろげながらもある程度の像を結ぶことができそうな感触を得るにいたった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
夏季にパリでの調査を行った結果、ロンドンのウィット・ライブラリーやアムステルダムのオランダ美術史資料館などの画像ライブラリでの調査が有効であるという見解にいたった。しかしながら、その後、学内業務が流動的で予定を立てにくく、秋季以降に、海外調査や美術館等施設での調査が調整しづらかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、これまで進めることができていない美術館・博物館・輸送会社との連携をはかる。 近代以前については、文献調査とあわせて、ロンドンのウィット・ライブラリー、アムステルダムのオランダ美術史資料館などで画像資料を調査する。断片的な情報を客観性を保つことを旨として情報を集積して像を結ぶ努力をする一方、19世紀後半以降の美術館・博物館活動の活発化の時期における美術品輸送についても、基本的な流れを提示できるように、調査・検討するようにする。 さらに、投稿論文などの形で、研究成果の一部を公表することにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学内業務の関連で、秋・冬季に海外調査が設定できなかったため、次年度使用額が発生した。 最終年度は、海外調査を2回(ロンドン、アムステルダム)、国内出張(東京)を行う。
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