2012 Fiscal Year Research-status Report
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24652028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
平 諭一郎 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 助手 (10582819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 順二 富山大学, 芸術文化学部, 教授 (30422637)
荒井 経 東京芸術大学, 大学院美術研究科, 准教授 (60361739)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 現代美術 / 現代アート / 芸術 / 保存 / 修復 / 文化財 / コンテンポラリー / 文化政策 |
Research Abstract |
本研究は、素材や技法が多様化、複雑化した現代美術作品の保存・修復における現状を整理し、現代美術を含めた新たな文化財保存・修復理念を提唱するための人的ネットワークを構築するものである。 2012年度は、現代美術作品の保存・修復についての現状調査、および関連する資料や情報収集を行った。 現代美術作品の保存・修復ついての現状調査については、主に国内外の美術館や博物館にてヒアリング調査を実施した。国外では、韓国国立中央博物館、韓国国立現代美術館、サムスン美術館Leeumを訪問し、現代美術作品の展示状態や修復施設を見学調査するとともに修復専門職員との意見交換を行った。また、韓国国立現代美術館にて行われた大規模なシンポジウム「How to Conserve The More,the Better」の報告を受け、アジアにおける現代美術作品の保存・修復ネットワークの必要性について協議した。国内では、学生の卒業制作を多数収蔵している東京藝術大学大学美術館を中心に、各地での屋外アートイベントやギャラリーにおける作品の保存・修復について、実態調査を行った。また、美術館学芸担当者だけでなく、アーティストや修復家、研究者にもヒアリングし、現代美術作品における保存・修復理念についての意見交換を行った。 また、国際的研究機関であるINCCA(International Network for the Conservation of Contemporary Art)に加入し、現代美術作品の保存・修復例の情報収集を行なっている。次年度以降は、より多くの関係者にヒアリングを行い、情報の収集・整理を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年度においては、まず美術館、博物館における調査項目および調査方法について検討し、研究全体の計画を策定することから始めた。国内外の様々な美術館や博物館を訪問したことにより、現代美術における保存・修復に関する人的ネットワークは広がっている。また、美術館、博物館職員へのヒアリング調査のみならず、文献や論文をはじめ、関連するウェブサイトやブログ、動画共有サイトなどからも情報収集を行った。おおむね研究開始時の計画どおり順調に進展している。今後はホームページやSNSを整備することにより、さらに多くの情報共有を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度以降は、主に以下の2点について研究を推進する。 (1)現代美術作品の保存・修復についての現状調査、および関連する資料や情報収集 国内外の多くの関係者にヒアリングを行い、統計的にデータを収集する。主に国外において現代美術作品を多数収蔵している美術館や博物館、研究機関などを訪問する。テート・モダンやジョルジュ・ポンピドゥー国立美術文化センター、MoMAなど、実際に現代美術作品の修復実績を有している機関へのヒアリングや意見交換を予定している。また、関連する資料や情報収集について、今後はホームページやSNSを整備することによりさらに多くの情報共有を目指し、関係者を交えたシンポジウムの開催を行なっていく予定である。 (2)現代美術を含めた新たな文化財保存・修復理念の考察 国内外の関係者に対するヒアリングから、現代美術作品の保存・修復については、世界中の美術館や博物館などがそれぞれ独自の方針で行っていることが明らかになってきた。また、方針が定まっていない機関も珍しくない。そのような現状を踏まえ、収蔵作品が豊富さもあり、研究代表者の所属している東京藝術大学大学美術館を中心に、今後の展開を考察していく。東京藝術大学大学美術館では、学生の優秀卒業制作品を収蔵する「選択的収蔵」と、卒業課題である自画像をすべて収蔵する「アーカイブ的収蔵」の二通りが存在するため、新たな文化財保存・修復理念の考察するためのモデルケースとしても最良であると判断した。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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