2012 Fiscal Year Research-status Report
英国RA会員ジェイムズ・バリーの研究―十八世紀愛蘭出身カトリック画家の精神と芸術
Project/Area Number |
24652033
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
桑島 秀樹 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (30379896)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 国際研究者交流 / ジェイムズ・バリー / エドマンド・バーク / ケルト / 崇高 / アイルランド / 美学・美術史 / 18世紀 |
Research Abstract |
初年度のH24年度は、研究資料の収集・整理、研究成果の(中間)報告、研究者間の情報交換迅速化を図るため、最新型の軽量ノートPCを購入した。このPCを駆使し、主として以下の具体的な作業1. ~3. をおこなった。 1.2012年11月24日―25日、日本アイルランド協会主催、2012年度アイルランド研究年次大会(於滋賀大学)に参加し、【単独研究発表】「親友シャクルトン宛書簡にみるカレッジ期の E ・バーク―バリトア幻想、あるいはダブリンの憂欝―」をおこなう。これとともに、研究課題にかかわる情報交換をアイルランド研究の専門家たちとおこなった。 2.2012年12月、H23年度1年間のダブリン・トリニティ・カレッジでの在外研究成果と、本年度の科研費助成の結果として収集・整理できた研究成果(一部)を、【単著原著論文】「パトロン政治家バークを描くジェイムズ・バリー―忘れられた十八世紀アイルランド人画家の葛藤―」、広島大学大学院総合科学研究科編『紀要I「人間科学研究」』、第7巻、1頁―24頁、2012年12月、というかたちで公刊した(※所属機関HP上でも全文公開中)。なお、本論文は、ジェイムズ・バリー研究の日本初の成果だと思われる。 3.2013年3月8日―15日、アイルランド共和国ダブリンへと研究調査・情報交換のため渡航。トリニティ・カレッジ、国立図書館、国立美術館、ヒューレイン美術館へと趣いた。当地では、バリーの絵画《海から現れたヴィーナス》(於ヒューレイン)を実地調査したり、バリー最初の稀少伝記本や18世紀に刊行された新聞・雑誌等を調査した。本調査渡航では、トリニティ・カレッジ(アイルランド史)のルイス・カレン名誉教授やヒューレインのマルガリータ・カポック(コレクション担当)学芸課長、在愛日本大使館文化担当(美術史)ルース・スター氏などと直接情報交換をおこなう機会も得ている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度は、年度末までアイルランドでの現地調査ならびの情報交換の時間を作ることができなかった。しかしながら、科研費助成以前からの関連する研究課題への取組み(基礎的な下準備)もあり、研究課題の「18世紀の忘れられたロイヤル・アカデミシャン」画家ジェイムズ・バリーについて、おそらく本邦初となる大部(約400字×90枚)の紹介論文(「研究実績概要」参照)を上梓することができた。また、年度末での一週間の滞在とはいえ、現地アイルランドでの調査に赴いたことで、新たな現地専門家との交流ならびに情報交換、さらに新たな研究資料の渉猟も可能となった。 初年度H24年度の研究進展は、おおむね順調といえよう。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究2年目に当たるH25年度は、1)研究資料の継続的な「収集」と「分析」、そしてさらなる研究成果の「公開」へむけての努力が主要な課題となる。これは、研究3年目以降のジェイムズ・バリー研究成果の包括的・網羅的な公開(関連専門図書の出版や、展覧会の開催へ向けての関係研究者等との接触・相談など)へ向けての下準備となる。 したがって、H25年度は具体的に、アイルランドならびにイギリス、北米、西ヨーロッパなどを中心とする地域での、ジェイムズ・バリー絵画コレクションにかんする実地調査や専門研究者との情報交換をいっそう推進するようなネットワーク作りが重要となる。こうした作業と並行して、適宜、中間報告的な研究成果を内外の研究者に発信することもまた、本研究遂行にあたり、研究課題をめぐる世界レヴェルでの研究水準を知るためにも必要不可欠であろう。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は、上記の研究指針に即して、当初の計画通り、海外への調査渡航旅費(現地研究者との直接情報交換を含む)と、国内での情報交換旅費等が多くの部分を占めるものとなろう。それら調査での情報・資料の収集結果として、稀少な専門文献渉猟のための費用も計上されている。
|