2012 Fiscal Year Research-status Report
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24652052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
藤巻 和宏 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (00468878)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本文学 / 書誌学・文献学 / 寺院資料 / 文化財保存 / 大阪市の文化財 / 真言宗 / 如意宝珠信仰 / 天神信仰 |
Research Abstract |
本年度は4月から3月にかけて10回、17日の調査をおこなった。なお、4月と5月の調査は科研費執行前であり、3月の調査は翌年度分から支出するため、本年度の助成による調査は、7月から2月までの7回、12日である。 本年度の調査に参加した研究協力者は、植田麦、太田有希子、大塚紀弘、坂口太郎、佐々木雷太、大東敬明、橋本正俊、花川真子、浜畑圭吾、日沖敦子、古川攝一、森誠子、吉田唯、渡邉卓の14名、調書のデータ入力担当者は川崎早也佳、前嶋茜の2名。3月の調査終了時点で、文献資料は第67函まで、絵画資料は69点の調査を終え、データ入力は文献資料52函まで完了した。 調査を通して、精力的に諸典籍の蒐集・書写・校合をおこなった宝珠院の歴代住持や、高野山や中国四国地方の諸寺院と宝珠院との関係が明らかとなりつつあるほか、内典以外に外典類も豊富に所蔵されていることや、書写奥書・本奥書の検討より非常に素性の良い写本が多く含まれていること等も判明した。また、数種類の蔵書目録も見付かり、木箱や典籍に付された記号(漢数字や千字文)と併せ、ある時点での宝珠院の蔵書状況をうかがうヒントにもなりうると考えている。 一方で、高野山大学図書館に寄託されている典籍類の調査も進めている。宝珠院側の蔵書類には高野山との関わりを示す奥書が散見されるが、高野山側で宝珠院との関係を示す情報は現時点では見付かっていない。引き続き調査をおこなう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中に典籍・絵画全点の調査をおこない、簡易目録(棒目録)を完成させることを目標としていたが、実際に調査をおこなってみると、寺院や研究協力者の都合等により予定の回数の調査をおこなえなかったほか、1函内の典籍の点数が予想よりも多かったり、調書に記入すべき事項が複雑であったりして、予定通りに進まなかった。また、典籍を収納する木箱や典籍自体の破損状況の甚だしいものもあり、これらの扱いに非常に時間がかかることも、進捗状況に影響している。文化財保存の観点から、慎重な扱いをするべきであるという考えに基づいた措置である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の調査の進捗状況から判断するに、典籍全点の調査は次年度にも完成しないと思われるが、正確な調書を取り、慎重に典籍を扱うことを優先すれば、やむを得ないものと考える。しかし、可能な限り調査回数を確保し、また、効率良く調査を進めてゆきたい。 絵画類は、大曼荼羅と屏風類を残すのみとなったので、次年度内には全点調査が完了するものと思われる。完了した時点で、絵画類のみの目録を公刊したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の余剰金の繰り越し分は、本年度3月の調査(3日間)に関わる旅費・謝金等に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)