2012 Fiscal Year Research-status Report
カフカの手稿アーカイブの構造理解と復元の試み―資料管理及び編集過程の分析から―
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24652069
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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| Research Institution | Saitama University |
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Principal Investigator |
明星 聖子 埼玉大学, 教養学部, 教授 (90312909)
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| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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| Keywords | ドイツ文学 / カフカ / 文献学 / アーカイブ / 資料 |
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| Research Abstract |
本プロジェクトは、カフカの手書き原稿の物理的な保管状況を調査し、歴代の編集者たちのアーカイビングおよび編集過程を分析することで、カフカの手元での＜オリジナル＞の管理構造を復元し、カフカ理解の新たな道を探るものである。初年度となる本年は、オックスフォード大学のボドレアン図書館を訪れ、カフカ手稿アーカイブの全体的な構造の把握につとめた。十数年来作成が続けられていた目録がちょうど前年に完成されたため、想定以上の範囲で理解を進めることができた。また、一般には閲覧不可能な資料のなかに、本課題に関係のある資料があることが確認されたことも、大きな収穫であった。
なおその後、新目録と旧目録の比較をおこなって、問題点をより明確化することはできたものの、当初検討の中心対象に予定していた資料アイテムに、重要な記録の欠落部分があることも判明し、若干の研究計画の見直しにせまられている。
アーカイブ調査以外には、批判版カフカ全集の編集者ハンス・ゲルト＝コッホ教授へのインタビューも実施した。ゲルト＝コッホ教授からは、批判版全集の最新の編集状況について話をうかがうとともに、カフカ手稿資料の管理の全体状況をめぐってさまざまな意見交換をおこなった。
このような調査等で得た資料や情報については順次分析を進めている。さらにその成果を物理的状況の単純な把握にとどめないよう、同時に作品解釈としての有機的な理解の道も探っている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オックスフォード大学での調査は、同大学の担当キュレーターのサポートのおかげもあって、当初の予定以上の規模の資料にあたることができた。それによって、これまで存在をまったく知られていなかった歴代編集者の手書きメモ群を発見したことは大きな収穫であった。（ただし、それの解明はきわめて困難なものであり、今後その資料の存在を何からの意義のあるカフカ理解へと発展的につなげていくには、非常に多くの時間を要するとは思われる。）
今回の調査で得た資料を、詳細に検討した結果、上述のとおり、今後の計画に軌道修正が迫られる結果にはなったが、初年度にその問題点を把握できたのは、それはそれで意義のある研究の進展だったといえるだろう。
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| Strategy for Future Research Activity |
次年度も、引き続きカフカの手稿資料をめぐって、調査と分析を進めていく。
ただし、当初予定していたMS.Kafka34および35については、本年度の調査により、アーカイビング過程に関する重要な記録の欠落があることが判明したことから、それらに特化した検討を諦め、むしろ全体的な資料構造自体の特性を俯瞰的に探ることを試みる。 さらに、当初計画からは若干逸脱する形でありながら、本プロジェクトの目的が、カフカ理解に果たす意義をまず明確にし、その重要性を再認識するために、一般には知られていない資料に基づく新しいテクスト解釈に関する書籍を執筆することも考えている。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度も今年度に引き続き、海外の手稿アーカイブ調査や海外の研究拠点の研究者との意見交換等をおこないたいと考えている。
また、デジタルデータや写真版の書籍といった高額資料の購入も予定している。
その他、各種の文献や電子機器などの消耗品にも使用していくつもりである。
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