2012 Fiscal Year Research-status Report
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24652078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
池田 潤 筑波大学, 人文社会系, 教授 (60288850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福盛 貴弘 大東文化大学, 外国語学部, 准教授 (00407644)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 視覚認知 / 文字 / N170 / 事象関連電位 |
Research Abstract |
まず、音声・言語実験室に設置されている脳波実験システムの改善作業を行った。具体的には、現行の実験システムにおいて問題となっていた潜時の遅れという技術的問題を解明するため、業者に委託し、脳波計測における刺激とトリガーパルスの同期検証を行った。同期検証作業の結果として,刺激とトリガーパルスには240msのタイムラグがあることが判明した。このタイムラグが,潜時の遅れの原因となっていたと考えられる。タイムラグの正確な数値が判明したため,タイムラグを引き算することで正確な潜時の値を求めることができるようになった。脳波計測による神経言語学的研究において、事象関連電位の潜時はとくに重要な指標であるため、この問題の解決の意義は極めて大きい。 これをふまえて、かなと漢字の文字認知に関する実験を行った。その成果は、日本実験言語学会の研究大会で発表するとともに、同学会誌に研究ノートを投稿し、採択された。さらに、ヘブライ語母語話者を被験者とした文字認知実験の準備として、ドイツで開催された国際学会に出席して情報収集を行うとともに、そこで得られた情報を参考に3月に1名の被験者を対象として予備実験を実施した。 パソコンが老朽化し、いくつかの技術的問題が発生したため、刺激発射と脳波収録用のハードウェア(コンピュータ2台およびケーブル)の入れ替えとソフトウェア(Super Labo, EPLYZERII)のアップグレードを年度末に行った。これにより、来年度以降、安定的に実験を継続する基盤が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2012年度は、予備実験と合わせて計20名のデータを得ることを目指していたが、研究分担者が入院したり、機材の問題が発生し、その対応に追われたりしたため、得られたデータは目標に達していない。 他方、2013年度に実施する予定だったN170に関する仮説の検証に前倒しで着手し、研究ノートを出版した。さらに、2014年度に着手する予定だったヘブライ語母語話者を被験者とした予備実験を前倒しして実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、予備実験と合わせて計20名のデータを得ることを目指す。 N170に関しても、被験者を増やして、今回の実験で見られた特徴にどれだけ一般性があるかも検証していきたい。また、これまではN170成分のみに注目してきたが、N170はP2とセットで現れるため、N170のトップとP2のボトムを足した値にも目を向ける必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は研究分担者が健康上の理由により休職したため、分担金を配分することができなかった。その分を次年度に繰り越すこととなった。 次年度は、研究分担者が初年度に購入する予定だったものを含め、機材や研究資料を購入し(物品費)、積極的に研究打ち合わせや研究成果発表を行い(旅費)、実験助手を雇用し、謝金を支払い(人件費・謝金)、実験に必要な消耗品等を購入する(その他)。
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