2015 Fiscal Year Annual Research Report
構造化されたエリシテーションの開発と意味研究への応用
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24652079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 義樹 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (20218209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 英樹 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (20153207)
林 徹 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (20173015)
唐沢 かおり 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (50249348)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 調査法 / 言語データ / 言語的直感 / エリシテーション / 意味理解 / ヴォイス / ダイクシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、日本語の受動構文に焦点を当て、言語研究者の適格性判断を含む言語データを、一般の日本語母語話者の観点から再検討した。そのため、日本語の受動構文に関する研究をサーベイし、特に重要な貢献をもたらした研究の中から、共通のテーマを扱っていると見なせる11本の著作・論文について、それに含まれる全例文のデータベースを作成した。この例文データベースを利用して、異なる主張ごとに例文データを整理した結果、扱われているテーマが類似しているにもかかわらず、依拠する例文について、著者の間にかなりの違いがあることが明らかとなった。例えば、今回作成したデータベースは受け身文と非受け身文の双方を含むが、その中から受け身文(計736例)に使われている動詞の種類を見てみると、もっとも出現頻度の高かった「殺す」(計31例)の場合、黒田 (1979)に21例、久野 (1983)に2例、柴谷 (2000) に2例、寺村 (1982)に5例、Jacobsen (1991)に1例と、著書・論文による大きな偏りが見られた。 さらに、以上の知見を利用しつつ、研究者に由来する偏りを避けながら、研究者にとって関与的なデータが効率よく集められるような質問群を生成する手法を検討した。その結果を「構造化されたエリシテーション」として具体化した。 当初予定していた、構造化されたエリシテーションの手法を利用したアンケート調査に代わり、少人数の母語話者へのインタビューを行うことができ、それによって構造化されたエリシテーションの手法の将来性について、一定の見通しが得られた。また、日本語以外の言語についても、試作をおこなっており、この点では当初の予定以上の成果をあげることができた。
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Research Products
(9 results)