2012 Fiscal Year Research-status Report
メディアの影響を組み込んだ言語の習得と変化に関する理論モデル構想のための試み
Project/Area Number |
24652082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
太田 一郎 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (60203783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹村 亜紀子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 研究員 (50597309)
宇都木 昭 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 助教 (60548999)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 社会言語学 / 言語変異理論 / 方言 / 語の音調型 / メディア / 言語変化 |
Research Abstract |
今年度は,当初の予定では年度始めから調査計画を練る予定だったが,具体的な調査前に次の2点をあらためて確認しておく必要があったため,これらを優先させた。その2点とは,(1) メディア要因と言語変異の関係を論じるための理論的前提,(2) 鹿児島方言若年層話者の語の音調型の使用に見られる変化の動態の確認。(1) の成果として,2013年にドイツから出版される予定のメディアと社会言語学的言語変化に関する論考集に2本の共著論文が収録される。ひとつはグラスゴー大学のStuart-Smith氏との共著(太田は第2著者)で,イギリスと日本という異なる社会で進行している言語変化はメディアによる影響が主な要因のひとつであることを,言語変異理論の枠組みで論じた。変異理論ではメディアは言語変化の主な要因ではないというのが定説だが,グラスゴーやイギリスの例を考えるとメディアの影響を取り入れた言語変化の可能性が考慮されるべきと主張している。もうひとつは,北星学園大学の高野照司との共著(太田は第1著者)で,過去に日本で行われた言語変化研究では,メディアが主な要因であると考えるべきものがあること,また北海道と鹿児島で収録した朗読音声に見られる音調の類似性は,メディアの影響による可能性が高いことを示唆した。(2)については,若年層の語音調型の使用は,従来の音調型とは異なるが一定の傾向が見られること,そしてその傾向には話者の要因(生育歴,パーソナリティなど)が関与することがわかった。この考察にはメディア要因を含めなかったが,語音調型の使用の変化の全体像をとらえることはできた。そのほか,NWAV Asia-Pacific 2(東京),MICA Seminar(ベトナム)などの国際学会,研究会において,関連する成果の一部を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は計画を変更し,まず研究遂行のための理論的基盤を充実させることに重きをおいた。そのため具体的な研究計画の検討が十分に行えなかったので,調査を始める段階まで達しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は次のスケジュールで研究を行う。 1. (4―7月)メディア要因と語音調型使用の変化との関連についての予備的分析 2. (8-9月)調査内容・方法の決定,海外協力者Sturat-Smith氏とのメディアと言語変化に関する共同研究の推進 3. (10-1月)本調査の開始 4. (2月)中間段階での進捗状況,問題点の確認 5. (3月)年度末のまとめと学会,研究会等での成果発表。 また必要に応じて随時代表者と分担者で会議を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1) 調査補助または研究補助の謝金として使用する (2) 打ち合わせ等の旅費として使用する (3) 消耗品費として使用する
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Research Products
(5 results)