2012 Fiscal Year Research-status Report
日本人海事従事者による外国語訛り英語聴き取り能力の検証
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24652094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
内田 洋子 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (50313383)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 海事英語 / 国際語としての英語 / 英語の多様性 / 音声知覚 |
Research Abstract |
24年度は、主に実験の刺激文作成および音声の録音と音声ファイル化の作業を行い、パイロット研究を2回遂行した。 まず、人物や動物などが何らかの活動を行っているイラストを数十枚用意し、各イラストについて、その内容を正しく描写している英文(True文)と誤って描写している英文(False文)を作成した。英文には中学3年生までに学ぶような基本的単語のみを用いた。例えば、男性と女性がオフィスで話をしているイラストに対する刺激文として、"The man and woman are talking in the office."(True文)と"The man and woman are talking in the cafeteria."(False文)を作った。これら刺激文を文字情報の形で英語母語話者や日本語母語話者数名に提示し、各イラストが正しく理解されるか?True文/False文がそれぞれイラストの内容を正しく/誤って描写しているか?を確認、何段階かのステップを経て、最終的に20のTrue文、20のFalse文を選定した。 次に、日本人6名、中国人6名、シンガポール人4名、英語母語話者(アメリカ、イギリス、ニュージーランド、アイルランド)9名に、これらの文を「普通の会話スピード」「Clear Speech(はっきりとわかりやすい話し方)」の2種類で読み上げてもらい、録音した。各話者の各文は、一つ一つPC上の音声編集ソフトで音声ファイル化した。 これらのうち、3名の英語母語話者が2種類のスピードで発音した音声を日本人被験者35名に提示し(PsyScope、SuperLab)、スピードの違いが文の理解度にどのような影響を及ぼすかを調べた。また、上記母語話者全種類による発話を日本人被験者160名に提示し、外国語訛りが文の理解度にどのような影響を及ぼすかについて基礎データを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度は、実験体系の構築を行った上、刺激音声の録音を行い、実験遂行ソフトを使って実験を実際に組み立てる(プログラミングする)ことを計画していた。 当初の計画よりも、刺激音声の選定に手間取ったが、選定を慎重に行うことで、よい刺激文が作成できた。 プログラミングは、最初予定していたPsyScopeではトラブルが多発したため、プログラムの修正に時間を要した。しかし、PsyScopeと同じことをでき、かつ、動作が安定している SuperLabに変更することで、問題を解決することができた。 SuperLabは有償で予定外の出費となったが、刺激音声を録音する非日本語話者は思っていたよりも容易に国内で見つけることができ、海外に出かける必要がなくなり、音声ファイルの作成には大きな遅れや問題は生じなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度(最終年度)は、前年度に録音した音声を用いて(1)話すスピードの違いが理解度にどのような効果を及ぼすか?(2)母語話者・非母語話者(具体的に何人(なにじん)か)の同定ができるか?(3)どの話者の英語が「訛って」聞こえるか、また訛りの度合いと理解の度合いにどのような関係があるか?の3つに着目し、本学学生および海上職に既についている社会人の協力を得て、聴取実験を行う。 得られた知見は日本音声学会と日本航海学会にて発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験のプログラミング修正を行ったり、実験立会いをする人員が必要となった場合、その研究補助者に対する謝金(250,000円以内に収めたい)が必要となる。 多人数の被験者((1)、(2)、(3)の各実験で60名程度)を要する上、各被験者を30分~1時間程度拘束することになるため、実験協力の謝金として180,000円ほどが必要となる。 また、国内への学会への参加費および論文投稿費として、200,000円程度が必要になる。
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