2014 Fiscal Year Annual Research Report
自然言語処理技術を利用した日本語教員養成システムの開発
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24652104
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
歌代 崇史 北海学園大学, 経済学部, 教授 (40580220)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本語教員養成 / 教師教育 / 自然言語処理 / ティーチャー・トーク / やさしい日本語 / 教材開発 / 教室内言語調整 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は自然言語処理技術を利用し、日本語教員を目指す学生及び教授経験が浅い新人の日本語教員が、様々なレベル・進度のクラスを疑似体験できる日本語教師養成システムを開発することを目的とする。システム利用者がweb上のシステムに実際の教室で発話予定の指示文等を入力すると、その指示文の中にどれくらい学習者にとって既習、未習の語彙、文型が含まれるか即時にフィードバックを返すシステムを開発する。 平成26年度は平成25年度までに開発した日本語教師養成システムT3(Teacher Talk Trainer)の機能を向上させ、実際の日本語教師養成課程の授業においてシステムを使用し、効果検証を行った。具体的に示すと、平成25年度までのT3の解析範囲は『みんなの日本語 初級Ⅰ 第2版』の語彙を95.55%程度網羅し、文型は45%程度の網羅率であった。平成26年度では、解析範囲を『みんなの日本語 初級Ⅰ 第2版』及び『みんなの日本語 初級Ⅱ 第2版』に広げ、2冊の教科書の語彙に関しては96.86%、文型に関しては80.75%カバーして解析が可能となった。これは『みんなの日本語』を教科書に採用した授業において、初級レベルで日本語学習者が学ぶ語彙、文型をほぼ網羅したことを意味する。 システムの効果検証をするため、実際の日本語教員養成課程の授業においてT3を使用した指導を行った。その結果、システムを使用した学習により、実習生は自分のティーチャー・トークと想定される日本語学習者が理解できるティーチャー・トークとの間に隔たりがあることに気付くことが明らかになった。また,自由記述の分析から、言語調整に関する限界を感じることで、実際に教室で指導を行う際の非言語行動の重要性や必要性に気付く可能性が示された。これらの成果を論文にまとめ発表した。また、開発したシステムを広くwebで公開し、誰でも自由に使用可能な状態で運用を継続している。
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