2013 Fiscal Year Annual Research Report
ライティングの際の思考を促進させる「キュー・カード」の開発
Project/Area Number |
24652114
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大井 恭子 千葉大学, 教育学部, 教授 (70176816)
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Keywords | キュー・カード / ライティング / 思考促進法 |
Research Abstract |
作文産出中に書く事に困難を感じている学習者に「手続き促進法(procedural facilitation)」(Bereiter & Scardamalia, 1987)と呼ばれる「キュー」を出すことで、作文過程での内省を促し、問題解決を促進させることができることが知られている。指導者(教師)がこうした「キュー・カード」を授業等に使用することにより、書き手に思考を促進させ、より深く思考させ、まとまりのある文章を書く上で支援を果たすことができると着想した。 1年目では、合計1,197名の中学生からライティングのデータと意識調査の回答を集めることができた。それらのデータの分析から、(1) 中学生は学年が上がるにつれて、より良い英文を書く事ができる、(2) ライティングの能力の習熟度に関係なく、多くの生徒が「自分の考えていることを相手に伝えたい」という気持ちを持っていること、(3) 多くの生徒が語彙力と文法に関する知識が足りないと感じていること、などが分かった。 2年目は、1年目の研究結果を踏まえ、「キュー・カード」の実証研究を行なった。合計477名の中学生、及び7人の教員の協力を得て、実践を行なった。ライティングの授業の中で、「キュー・カード」を適宜使用し、また、中学生が不安をいただいている語彙や文法項目も補強したworksheet を用意し、それらを段階的に使用した。これにより、ライティング・ブロックに陥っている中学生が更に書き進めることができ、よりまとまりのある作文を書けるようになった。即ち、適切な「キュー・カード」の使用により、生徒の書くプロセスが促進され、彼らの「伝えたい」という気持ちに沿うよう、より充実したライティング活動が展開できることが確かめられた。
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